進化する教育【レビュー】

進化する教育(DVD付) (大前研一通信特別保存版 PARTVI)レビュープラスさんからいただいた「進化する教育(DVD付) (大前研一通信特別保存版 PARTVI)」のレビューです。

今回は久しぶりの電子版でのご提供ということで、買ったばかりのiPad miniに指定された電子書籍リーダーのアプリをインストールして読ませていただきました。

ちなみに頂いておいて恐縮ですが、読むのに使った電子書籍アプリは正直ちょっとイマイチでした。まず標準の状態(文字の拡大縮小なし)では文字が若干滲んで見えましたし、一般的な電子書籍アプリに実装されている文字の大きさ調整機能もなかったのがちょっと厳しかったです(電子書籍というより紙面をスキャンで取り込んでいる感じ)。しおり機能はありましたが文字に対してマーカーを引くことができず、そのため読みながら都度ノートにポイントを書き写しながらの読書になりました。面白い機能として「ペンで書き込み」という、紙面に数種類の色で書き込みができる機能がありましたが、こちらも使い勝手や精度がイマイチだったのであまり使いませんでした。

本書は著名コンサルタントの大前研一氏が創設した通学不要のオンライン大学である、ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学と大学院、ボンド大学大学院の紹介が主な内容で、日本の教育と世界のそれとの比較等から話は始まります。日本が昔から変わらず引きずっている負の遺産として、偏差値教育に基づくいわゆる「教えられる」教育から「自ら学び取る」教育への転換が必要であると繰り返し述べられており、日本人に足りないとされる「論理思考力」「構想力」「問題解決力」等の向上を目指し世界に通じる人材を教育するための機関として創られたBBT大学のコンセプトがここにあります。

BBT大学についての説明はこれでもかというくらい繰り返し反復説明があるのですが、BBT大学の特徴は既存の教育機関にはなかった様々な特徴があります。通学不要の100%オンラインでの大学であり、かつ文部科学省の認可を受けた株式会社が創設し、更にはMBAの取得も可能にした日本では稀有なタイプの大学だそうです。

BBT大学には既存の教育機関が漫然と放置している課題やオンラインならではのリスク・懸念を解消したシステムとして様々な特徴があります。通学方式とは違った受講生自身に高いモチベーションが求められることや、そもそもネット経由で授業や課題が成り立つのか等の問題について、本書ではひとつひとつ対処実例やポジティブな例を挙げられています。職員と受講生が相互にやり取りできるAircampus等様々な独自のシステムを活用することで、継続率の高さや各受講生のモチベーションにつなげることで、以外にもオンラインでありながらオフライン以上のつながりの強さが出てくると紹介されています。

後半では実際に各課題について大前氏と受講生等のやり取りが掲載されており、「授業」の様子が垣間見えるので、興味のある方は一読してみると参考になるかと思います。

上でも触れましたが全般的にBBT大学についての紹介であり、様々なコンテンツを集約して構成されていることから一冊の書籍として若干まとまりがついていない感じがしたり、紹介の繰り返しが多くて食傷気味に感じる部分もありましたが、大学のコンセプトやそれに付随する教育への提言、授業例は楽しく読めましたし、繰り返された大学のシステム紹介についも、Eラーニングに興味のある方であればかなり参考になる部分は多いのではないかと思います(大学のシステムとEラーニングとは違うと触れられてはいますが)。かのピーター・ドラッカーもEラーニングの将来性については書で触れていたこともあり、単なる大学紹介として読むのではなく、色々な知見を得られるものとして読んでみられてはいかがでしょうか。

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