「そうか、君は課長になったのか。」
自己啓発系の本はしばらく買うことはないだろうと思っていましたが、久しぶりに琴線に触れたので買ってみました。「そうか、君は課長になったのか。」です。
本書は東レ経営研究所社長の佐々木常夫さんが、自身の経験から世の課長に対して心構えやあるべき姿を諭した一冊です。
佐々木さんは自身が課長時代、肝臓病とうつ病を併発した妻と自閉症の息子を支えながら、仕事でも数々の大事業を成功に導いてきたそうです。家族の介護のため職場は定時で帰宅するにもかかわらず、仕事で結果を出してきたその組織マネジメントは高く評価されています。
マネジメントにおいて個人的にはドラッカーを参考にすることが多く、本書も根本的には同じ方向性です。ただ、ドラッカーでまだ私が読み切れていない組織マネジメントの技法や心構えについて、本書は佐々木さんの体験を元により具体的な内容に落とし込まれている部分もあると感じました。
ちなみに本書は地元の本屋さんで購入したのですが、買うか否か立ち読みをしながらかなり迷いました。冒頭でも言ったように、自己啓発の類本については食傷気味だったためです。それでも、以下の一文を読んだことで買う決心がつきました。日本理化学工業社の大山社長が試しに雇ってみた知的障がい者の社員の熱心な働きぶりについて疑問に思い、導師(禅僧)に尋ねた際の導師の答えです。
「人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされることの4つです。働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのです。彼らが働こうとするのは、社会で必要とされて、本当の幸せを求める人間の証なのです」
それまで社長は、障がい者は施設で毎日働かずにのんびり暮らした方が幸せだろうと思っていたそうですが、導師の言葉に感動して障がい者雇用を増やし、社員の7割が知的障がい者で構成されるまでになったそうです。
佐々木さんもこの言葉に心を打たれたそうですが、自分も同じように感じ、この言葉を教えてくれただけでも買う価値があると感じ購入しました。
本書では課長という役職について、社長や部長にはない部分、例えば部下一人一人と直接対峙できる魅力的な役職であることとその重要性を説いています。自分も若輩ながら事務所の代表の一人ではありますが、実際には本書に挙げられた課長がすべきことの多くを行う必要があり、大変参考になります。
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