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Categories: 本・読書

【レビュー】クーリエ・ジャポン2010年7月号(Vol.068)

「新装刊」として一ヶ月半のお休みを経ての発売となった「COURRiER Japon (クーリエ ジャポン)2010年7月号」のレビューです。ちなみに今回もレビュープラスさんのレビューコンテストに参加していたんですが、仕事と体調不良が重なった時期だったのでコンテストには間に合いませんでした。が、レビューはアップしたいと思います。

今回はなんといっても特集「アップルが、世界を変える。」が目玉かと。・・・と思っていたんですが、アップル特集以外にも個人的に興味を引く話題が満載。新装刊は伊達じゃないよというところですね。というか内容の前に今月の表紙はカッコいい・・・。

アップル特集は旬な話題よろしく、序盤はiPadを巡るあれこれから始まります。

iPadは「体験」を変え、価値観を変える。

冒頭のポイントはiPadがもたらす新しい「体験」、ユーザーエクスペリエンス。iPhoneよりも大きくてPCのモニターよりも小さい、そんな中途半端とも感じられるタブレット型デバイスのiPadですが、この些細な違いがユーザーに新しい体験をもたらすと触れています。

実際iPadを使ってみるとよく分かるんですが、たしかに寝転がってインターネットをみたりメールの送受信をしたりなどが行えます。これを今までのPCで行おうとするとできなくはないが工夫や苦痛を感じるかもしれません。それがいとも簡単にできてしまう。

そして「それならiPhoneでもできるじゃない」という意見に対しては、iPhoneが持たない大きなモニターによってより広い視野でサイトを閲覧したりメールを見ることができるというメリットで返すことができます。ただこれは実際に使ってみないと分からないかもしれません。

このようにほんのちょっとした違いなんですが、このほんのちょっとの違いが大きなユーザーエクスペリエンスへの提供とつながってくるわけです。記事の中にはiPadに表示される広告がユーザーに対してどう受け入れられるかの実験について触れられていますが、ユーザーは広告をむしろ興味を持って閲覧するというデータもあるそうです。一般的なテレビCMやWebのバナー広告からすれば考えにくいこのユーザー心理も(モノによってはこれらの広告も魅力的なものがありますが)、iPadという新しいデバイスによってそれまでとは異なる価値観を持って受け入れられる可能性が出てくるということになります。

その他iPadを取り巻く競合他社の動きや電子書籍市場の今後についても様々な情報とともに紹介されています。電子書籍の部分についてはこの特集でも登場している佐々木俊尚さんの「電子書籍の衝撃」を読むとより理解が深まると思います。

そんなiPadの核心に迫る内容が盛りだくさんの中、このアップル特集の中で最も個人的に惹かれたのは、アップルのデザイナー、ジョナサン・アイブについての記述でした。これまでのアップル製品のデザイン制作に関わり、今もアップルのデザインチームを束ねるジョナサン・アイブ。iPadやiPhoneなど新製品の紹介ビデオによく登場する丸坊主のダンディーな男性です。この人が数々のアップルのデザインを作っていたんだという(半ば今更感がありますが)ことを知ることができてすごく嬉しかったです。さらには少しですがジョナサンの仕事についても触れられており、非常に興味深く読ませていただきました。

クーリエのスタイルとして、他のビジネス雑誌でよく見かける図解などはほとんどありません。今回はiPadを取り巻く業界の様子が綺麗なグラフィックで描かれたものはあったものの、ほとんどは文章を読んで理解していく必要があります。図解があれば理解も進みやすいと思っていますが、一貫したこういうスタイルもまた読書の質を維持するために自分には良いと思っています。

ちなみに特集では、アップルについて危険ではないのかという指摘があることも紹介されています。iPhoneでスマートフォン市場を席巻し、アプリ市場でも大きなシェアを持つアップルが、ユーザーの大きな囲い込みをするのではないかという部分です。これまでもIBMやMS(マイクロソフト)がその圧倒的なシェアを盾にユーザーの囲い込みを行っているといわれることがありましたが、アップルのそれはIBMやMSの比ではない質で及ぶのではないかという指摘です。これは現在とこれからの市場を読む意味でも勉強になる部分だと思います。

余談としてはもったいないのですが、もちろんアップルのCEO、スティーブ・ジョブズについての記事もあります。歴史上の多くの偉人とジョブズが重なる部分などが紹介されています。

アップル特集に目が行きがちになりますが、その他の記事も興味深いです。特に「人工冷凍保存」の記事は前号の「自殺幇助の組織」に続く衝撃的なものです。

人体冷凍保存運動の創始者、バート・C・W・エッティンガーが進める人体冷凍保存についての紹介記事です。亡くなった方を人工的に冷凍保存し、いつか復活できる技術が登場するその時に生き返るというこのプロジェクト。現在では技術的な困難のために不可能だそうですが、近い将来これらの課題を解決する方法が見つかるまで、冷凍保存され復活の時を待っているそうです。

興味深かったのは、もしこの技術が実現され死者が蘇ることができるようになったとしたら、地球上は人類で溢れてしまうのではないかという指摘に対するエッティンガーの返答です。

「人類はシフト制でスペースを共有することになり、他人も活動できるよう、ときどき生きることを中断するようになる」

もうひとつ興味深かった記事は「世界の工場」中国についてのものです。こちらは最近週刊ダイヤモンドでも中国の特集が出ていたのであわせて読みたいと思っています。ということでリニューアルした今号も内容充実した刊でした。

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