「統計」は将来的に活躍必至と言われているデータサイエンティストといった職業やビッグデータに関すること、特に統計学をポイントに据えた書籍や特集が多く見られます。「統計学が最強の学問である
「未来予測」については2030~2050年辺りを予測した書籍が多く見られます。「2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する
」のように未来予測を戦略として紹介するようなものまで様々です。
そして「協働」。働き方が多様になっていく中、ノマドという独立した働き方に注目が集まりつつも、ここ最近で言うと組織内外の協力に注目した内容のものが多いような気がします(ノマドもその点では個人完結型ではなく実は協働の要素が外せないのですが)。
このテーマとしては外部の企業や個人が連携をすることについてのものや、組織内のチーム作り、心の病が広がる中でどう対処を行なっていくかなど非常に多様です。今回読んだ「起業GAME
本書「起業GAME」では序盤こそTwitterの創業者の一人(でありモバイル型クレジット決済システムSquareの創設者)ジャック・ドーシーや、リンクトインの創業者リード・ホフマンがスタートアップであった頃のエピソードも紹介されていますが、著者自身のスタートアップについては日本では聞き慣れない名前かもしれません。しかしアメリカのVC事情についての記載は細かです。
スタートアップのジャンルも様々で、医療系の事業を立ち上げる際に紹介されていた例ではサーチュイン(若返り遺伝子)についての紹介もありました。サーチュインと言えば自身のルックスからアンチエイジングの話題ですっかり有名になった南雲吉則医師がよく紹介される遺伝子名でもあります。
「カロリー制限により加齢の速度が抑制され寿命は最大限のばされる」
は本書の記述の引用ですが、南雲医師の若返りポイントの一つでもあり、全く無関係な分野が意外なキーワードで繋がった個人的に興味を引くポイントでした。
上でも述べたように本書はスタートアップとVCとの関係についてが主題ですが、この内容については仕事をする上で普遍的な面が多々あると感じました。それは「協働」というテーマにおける普遍性というか原則ということになるのかもしれませんが、組織チームとして仕事をすることと、スタートアップとVCが協力していく過程も、その中で必要とされるポイントや重要性にはあまり違いがないということです。
例えばVCの中では一人の意見よりも集団の意見が正しいという風潮がありグループセッションやディベートを尊重すること、プレゼンの重要性(最初の15分が勝負)、何よりもスタートアップに必要なのは情熱であること等々。仕事をする上での重要性はほぼ同じ事が言えるということになります。
そういった面では仕事術や組織マネジメント等について新しい話題は少ないかもしれませんが、スタートアップとVCとの関係という点について多くのポイントが抑えられていると思います。
また、コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)投資という、大企業がVCの活動を行う例も出てきているそうで、これは両著に記載がありますがCVCの支援を受けるメリットやデメリットをよくよく加味する必要がありそうです。
個人的にVCへの支援をお願いしたことは無いのですが、今後ひょっとしたらお世話になることがあるかもしれませんし、実は意外にそんなに距離のあることでもないかもというのが印象です。というのもVCとは違いますがネット上で活動の支援を募集するクラウドファンディングにもスタートアップとVCとの関係は当てはまると思いますし、VCのような企業相手ではなくてエンジェル投資家という個人で支援してくれる人との出会いもあるかもしれません。
働き方も世流も多様化する中において他者や他組織と協働する場面が多くなる可能性は高くなっていきます。そうしたこれからを見据えて本書のノウハウを知っておくのはとても役に立つことかと感じました。
(本書はレビュープラスさんから電子版を頂き読ませていただきました。ありがとうございました。)