「結果を出せない営業マン時代にうつとなり苦悩の時期を過ごす」というプロフィールにもあるように、著者が過去の挫折経験からどのような方法で立ち直り、今日に至るかという構成です。
タイトルにもある「もったいない人」というのがキーワードの一つで、著者はこれを「いいものを持っているのに自分の能力をうまく発揮できず、努力している割に報われていない人」と定義しています。そして「もったいない人」には以下の3つのパターンがあると言います。
これらの症状に対してどのように対処していくかを紹介していくところから入っていきます。
基本的には全ての懸案事項を書き出し、それらに対する見方をネガティブからポジティブへと言葉を変えるという手法です。「頭のなかにあることをすべて書き出す」という手順で始まる仕事術として有名なのはGTD(Getting Things Done)ですが、いずれにせよ心の中にあるものをいったん目に見える形に具現化する(見える化する)ことの効用は多く取り上げられていますし、個人的にも書き出してみるということについては同意できます。
本書は上で述べた症候群だけでなく、「もったいない人」から脱却して成長するための仕組みが多く書かれています。個人的には新鮮な発見というものはあまり探すことができなかったのですが、本書の内容について捉える角度を変えてみることで新しい気づきが得られるかなとも思います。そしてそれは著者自身が本書の中で書いていることそのものであり、それに気がつくことができればそこから新しい価値を本書から得られる可能性はあるように思います。
ちなみに著者はビジネス書の多読を薦めていますが、これについての理由(なぜ数あるジャンルの中からビジネス書なのか)が少し見えにくかったかなと感じたので、その辺りについてもう少し読めればと思いました。