ちなみに販売されている書籍版と比較はしていないのですが、ページ数はほぼ同じだったので内容も同等のものだと思います。
バイラル・ループの意味については本書の前書き冒頭で、ITジャーナリストの佐々木俊尚さんが以下のように紹介されています。
バイラル・ループというのは、インターネット上でブログやツイッター、ユーチューブなどのソーシャルメディアを経由して、情報がウイルスのように伝播していく現象のことだ。
昨今のビジネス・商業系の雑誌では毎月のように「ソーシャルメディア」について取り上げられています。それほどまでに今注目されているキーワードでもあり、その様子を端的に言い表しているのが「バイラル・ループ」と言えます。
目次
本書の中盤までは比較的上記のような企業や個人のバイラル・ループに関する事例が詳細に紹介されています。他のソーシャルメディア系書籍に比べると若干専門用語が多いような感じがしましたが、個人的には自分寄りの分野だったのでより詳しく理解することができた感じがします。
シン・シティでは3つのエピソードに登場する人物が同じ場面に登場するシーンがありますが、本書では各登場人物がより密接につながりあう展開も見られ、面白さを引き立てています。また、各登場人物についての容姿や性格、仲間とのやり取りも詳しく書かれていて読み応えがあります。
冒頭でも述べたように、ソーシャルメディアを利用した広告手法や事例が頻繁に雑誌やウェブで紹介されています。しかし、なんでも全てがソーシャルメディアの恩恵に預かれるというわけではなく、いくつかの条件があると本書では述べられています。その一つが、以下に引用する起業家アンドリュー・チェンの言葉です。
バイラル・ループは「現在、世界で最も先進的なダイレクトマーケティング戦略」だ。ただし、従来のマーケティングとは位置づけが異なる。製品やサービスが本当によくできている場合のみ、バイラル・ループが生じる。
そもそもバイラル・ループやソーシャルメディアでの盛り上がりのきっかけにはユーザーの興味を引くことが欠かせません。故に、何の特徴や面白味のないモノではそもそも何の波風も立たせることはできないというわけです。
また、バイラル・ループを実際に起こした企業の成功例について、以下の共通する特徴を挙げています。
これらのことについても、本書が事例とともに紹介してくれます。ケーススタディ集としても重宝しそうな良書だと思います。