「ツイッターノミクス」と「フリー」は今、合わせて読んでおくべき

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

今話題の「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」。実はまともに読んだことありません。正直その分厚さ(ページ量)にひるんでます。その代わりと言ってはなんですが、週刊 ダイヤモンドの2010年3月13号で「フリー」の特集をやってくれたのでそっちを読んで勉強させていただきました。

そして「ツイッターノミクス」。こちらは公式サイトのレビュアー募集で運良く引っかかり送っていただけました。こちらは今第2章まで読んだところです。ツイッターノミクスは途中ですが、二つを読んでいて思うことが色々あります。そして個人的にはすごく深いです。箇条書きに並べてみると以下な感じに思っています。

  • 誰が読んでもためになる
  • まして、Webに関わる人なら制作者も企業のWeb担当者も必読レベル
  • 二つの書には共通点が多い。だから二つとも読むと相乗効果でより視野が広がる
  • 更に考えていくと、昨今再ブームのピーター・ドラッカーが見えてくる(気がする)

正直「フリー」とかは「どうせ無料のネットサービスとか紹介してるくらいでしょ?」くらいにしか思ってませんでした。特集読んで大アホだと気づきました。とんでもないというか特集だけでも読んどいてよかったというか知ったつもりでいたというか、正直すごく勉強になりました。

紙面で紹介されている一つ一つはもちろん把握している事例ではありました。skypeやモバゲーの収益についてや、iphoneのアプリがどんどん広がっていること、wikipediaがここまで一般に広がっていることなど。しかしどれも知ってはいるけども、それらを体系化して把握したことはなかったです。

「フリー」ではフリーの形態を

  • 直接的内部相互補助
  • 三者市場
  • フリーミアム
  • 非貨幣市場

以上の4つに分類してそれぞれ紹介しています。どれも(個人的には)身近で分かりやすい例を挙げて説明されています。まだちょっと直接的内部相互補助とフリーミアムの区別が付きにくいところはありますけど、よくよく考えると確かにちょっと違いますね。

体系化されるとよい点は、応用が利きやすくなるところだと思います。週刊ダイヤモンドの特集では、インターネットを利用したフリーな例に限らず、パン屋さんや宝石店などといったサービスも例に挙がり、成功や失敗例として紹介されています。体系化といえばマネジメントの概念を体系化した知の巨人でありマネジメントの父とも言われるピーター・ドラッカーが思いつきます。最近ではドラッカーの「マネジメント – 基本と原則 [エッセンシャル版]」を小説形式で分かりやすく紹介した「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」が話題のようで、テレビでもドラッカー再びというような紹介を見かけます。ちなみに今アマゾンのランキングを見たら「もし高校野球の~」が5位、「マネジメント」が4位でした。といってもその筋では長く読み親しまれているドラッカー本を「ドラッカー再び」という言い方はあまり適切ではないかもしれませんね。

といっても冒頭でドラッカーが見える気がするといったのは別の部分で、後でご紹介する非貨幣市場の辺りに垣間見えた気がするという程度です。ドラッカーの主張に「企業の目的は利益ではなく、顧客に貢献するのが企業の存在意義である。そしてその顧客を想像するのが企業の目的である」というのがあるんですが、利益を金銭的なものとしてばかり捉えていれば非貨幣市場のマーケティングは到底思いつかないだろうなと感じたことからです。自分もまだまだドラッカーの著書の大半は読めてません。

ツイッターノミクス話がそれましたが、今メインで読みたいのはツイッターノミクスです。中身は非常に濃く、ソーシャルネットツールやコミュニティマーケティングの実例などが豊富で分かりやすい。タイトルこそtwitter(ツイッター)を連想させますがそれはごく一部。市場経済からギフト経済への転換、要は金銭的なものではなく、この書の中で「ウッフィー」と呼ばれる信頼や尊厳、評価というものを軸に今後のマーケットは展開するという著者の主張は、数多くの事例とともに非常に説得力のある、かつ興味をそそられる文章で次々に綴られていきます。

そしてこの「ウッフィー」は「フリー」で取り上げられている4つの形態のうちの一つ「非貨幣市場」とリンクしていると思います。金銭ではなく、ウッフィーに値するものを与えることでユーザーの行動を促すという主張は、ユーザーの無償の投稿により構築されているWikipediaが該当しますし、また登録ユーザーからの投稿により、気象庁を上回る精度で天気予報を予測する場合すらあると言われるウェザーニューズなどもこれに当たります。いずれもユーザーは運営側から金銭を受け取っていないにもかかわらず、積極的に運営側のコンテンツ構築に助力しています。これはユーザーが金銭ではなく、自分が投稿することによって得られる「ウッフィー」を得ているからこそ成り立っている好例だと思います。

「ちょっとこの2冊に影響され過ぎてない?」と顧みないわけではないんですが、どちらも現在進行形で事例の多いものが取り上げられているだけに説得力があります。だからこそこれらの著書から今現在のマーケティング事例を読み理解しておくことは大切だと思いますし、実際に試してみる必要があると思っています。2010年前半ですが、この2冊は個人的にかなりインパクト大きいです。

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。