「ログインなしでサービス利用可」にみるYahooのインタレストマッチ広告戦略
本来ログインしなければできないはずのサービスが、ログインしなくても使えるようになるニュースが出てました。かすかですがYahooが推し進める今後の広告戦略が垣間見える気がします。
ヤフーは4日、「My Yahoo!」のバージョンアップを実施した。ログインせずともコンテンツの追加などが可能となった。
「My Yahoo!」は、Yahoo! JAPANのコンテンツを自分専用にカスタマイズできるサービス。Yahoo! JAPANのサービスやRSSを配信している外部コンテンツから好きなものを選んで表示できる。従来「My Yahoo!」を利用するにはYahoo! JAPANのIDでログインする必要があった。
今回ヤフーでは、Cookieを利用して「My Yahoo!」利用時にログインせずともレイアウトや背景の変更、コンテンツの追加などの基本操作が行えるバージョンアップを実施。ヤフーでは、「My Yahoo!」を試しに使ってみたいユーザーや、会社などで、ログインが必要なサービスが利用できないユーザーなどが気軽に「My Yahoo!」を利用できるとしている。
なお、メール機能やマイ・オークションなど、個人の情報や設定に紐付くサービスや、自宅と会社など複数のPCで同じ状態の「My Yahoo!」を使いたい場合、各コンテンツごとに表示内容を変えたい場合などにはYahoo! JAPAN IDでのログインが必要となる。
初めてのユーザに体験版として使ってもらえるようにというのが狙いだと思いますが、登録前に試用できるのは良いことですね。個人的にこれはYahoo(の傘下のオーバーチュア)が近年売り出しているインタレストマッチ広告(興味関心連動型広告)への施策と思っています。
インタレストマッチ広告とは、検索エンジンの検索結果に応じて表示される検索連動型広告と似て非なるタイプの新しいWeb広告です。
インタレストマッチは、インターネットユーザーが過去に閲覧したり検索したページの内容に応じて、最適な広告を掲載する興味関心連動型広告です。例えば海外旅行のサイトを見ている人には、海外旅行に関連する広告だけではなく、過去に閲覧したサイトの内容などに応じて、その人ごとに最適な広告が掲載されます。広告の表示回数を増やしながら、確度の高い見込み客の獲得を実現します。(Yahoo!リスティング広告)
よりユーザのパーソナリティや興味・関心事にマッチした広告を、リアルタイムではなくある程度のスパン(時間)の中で展開できるということです。肝心なのはユーザの詳細なプロファイルをどのように取得するかという部分で、この点についてオーバーチュアはYahooの会員情報などを参照しているそうです。つまりYahoo! JAPAN IDの利用ユーザ増がこのインタレストマッチ広告の需要を広げる一因となるわけです。
ログインなしでお試しでMy Yahoo!サービスを利用できる点についても、Cookieを利用させることからインタレストマッチ広告の表示がまだ登録していないユーザにも展開できると考えられます。
ちなみにインタレストマッチ広告の類は他の大手サイトでも運用が始まっているそうですが、ユーザのプロファイル取得について個人情報保護の観点から問題があるのではという声もあるようです。確かにYahoo!JAPANに会員登録しているすべてのユーザがインタレストマッチ広告に関しての認識や広告への参照を了承しているとも思えませんし、Cookie情報を利用しているようなインタレストマッチ広告であればなおさら無断でしょうし。
また、インタレストマッチ広告の問題点のひとつとしては、広告主が自社の広告がどこに表示されているのかを把握しにくいという点もあります。インタレストマッチ広告が表示されるのはオーバーチュアであればYahoo!の各サービスコンテンツ内の、そのユーザに適したページという曖昧なものなので、広告主としては「うちの広告はどこに出てるの?」と不安になるわけです。また、Yahoo!のサービス内に自社の広告とユーザの需要が合致したものがなければ、広告の表示されるスペースが非常に限られたり最悪広告が表示されない可能性も考えられます。この辺りはどのように改善されていくのか逆に楽しみですね。
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