難聴者も認めた!?実は補聴器としても活用できるAir Podsの使い方
Appleのワイヤレスイヤホンとして非常に人気の高いAir Pods Pro(エアーポッズプロ)。
このブログでも発売当初に「AirPods Proかなり良い。ノイズキャンセリング優秀!」というエントリーで魅力の一端を書いています。
その時はノイズキャンセリングの優秀さを推していましたが、実はAirPodsシリーズにはそれとは逆ベクトルの素晴らしい機能を使うことができます。それは「AirPodsを補聴器のように使うことができる」です。
目次
AirPodsを補聴器のように使える「ライブリスニング」機能
iOS12から使えるようになった機能のひとつに「ライブリスニング」があります。
これはiPhoneやiPadに標準で搭載されている機能で、簡単に言うと耳に装着したイヤホンから聞こえる音を増幅して、周囲の音を聞こえやすくする機能です。
AirPods Proは周囲の雑音をカットするノイズキャンセリングという機能と、逆に周囲の音を聞こえやすくするライブリスニング機能という2つの機能を両方使うことができます。すごいですね。
ちなみにノイズキャンセリング機能は、インイヤー型(耳穴にすっぽり入るタイプ)のAirPods Proで使用することができます。AirPods第1・第2世代はインイヤー型ではないのでノイズキャンセリング機能は使用できません。
ライブリスニング機能はAirPods第1・第2世代でも使用することができます。
難聴の方が体験「補聴器より良いかも!」
昨年11月に青森市内で講師を担当した「盲ろう者向け通訳・介助員養成講座」の時にこのライブリスニング機能を紹介したことがあります。(盲ろう者が活用できるICT技術について講師のエントリーを参照)
「実際に試してみたい方はいませんか?」と会場に呼びかけたところ、難聴の方が手を挙げてくださり実際に試してもらいました。
AirPods Proを装着してもらいライブリスニング機能を有効にすると、難聴者の方はすかさず「おおー!」と驚いた様子。
音の聞こえ具合を確認してからおっしゃった言葉は「補聴器より良いかも!」でした。
ライブリスニング機能を有効にしたAirPods Proからの周囲の音は予想以上にクリアに聞こえたようで、様子を見ていた他の参加者の皆さん(難聴やろう者の方が多くいらっしゃいました)も一様に驚いていました。
私自身は難聴ではないので、補聴器とAirPods Proとの聞こえ具合を聴き比べられませんが、実際に補聴器を使っている方にAirPods Proのライブリスニング機能を試してもらい好印象だったことで、あらためてライブリスニング機能の凄さを垣間見た気がしました。
ライブリスニング機能を使用するための手順
ここからはiPhone11 Pro MaxとAirPods Proを使ってライブリスニング機能を使用する手順を説明します。
ちなみにiPhoneはiOS12以降がインストールされていれば他の機種でも使用できますが、後述するコントロールセンターの表示方法が異なる場合があります。AirPodsはProでなくてもAirPods第1・第2世代でも使用できます。
大まかな流れとしては以下のようになります。
- 「設定」アプリから「コントロールセンター」を開く
- 「コントロールセンターをカスタマイズ」から「聴覚」をコントロールセンターに追加して設定完了
- AirPods Proを耳に装着し、iPhoneと接続しておく
- コントロールセンターを表示し「聴覚」をタップ
- ライブリスニングをオンにする
以下順番に説明していきます。
1.「設定」アプリから「コントロールセンター」を開く
2.「コントロールセンターをカスタマイズ」から「聴覚」をコントロールセンターに追加して設定完了
「コントロールセンター」をタップし「コントロールをカスタマイズ」をタップすると、上の画像のようにコントロールセンターのカスタマイズ画面が表示されます。
通常であればライブリスニング機能は画面下の方にある「コントロールを追加」の一覧の中に表示されています。耳のマークの横に「聴覚」と表記されています。
この左横にあるプラスのマークをタップすると、画面上の方に表示されていたエリアに追加されます。
これでライブリスニング機能をコントロールセンターからいつでも起動することができるようになりました。
3.AirPods Proを耳に装着し、iPhoneと接続しておく
AirPods Proを耳に装着します。AirPods Proは事前にiPhoneとペアリングしておくとスムーズです。
4.コントロールセンターを表示し「聴覚」をタップ
コントロールセンターを表示します。コントロールセンターの表示方法はiPhoneの機種によって異なります。
ざっくり説明するとホームボタンがあるタイプのiPhoneは、画面の下の端から上に向かって一本指でフリック(弾く)。ホームボタンがないタイプのiPhoneは画面の右上の端から下に向かって一本指でフリックで表示されます(表示方法は変更になる場合があります)。
コントロールセンターが表示されたらその中に先ほど追加した「聴覚」を表す耳のマークのボタンがあるはずなので、そこをタップします。
5.ライブリスニングをオンにする
ライブリスニングの部分がオフと表示されている箇所をタップします。
表記がオフからオンに切り替わり、ライブリスニング機能が有効になりました。周囲の音が聞こえやすくなっているはずですし、自分が発する声も聞こえやすくなります。
ライブリスニング機能を終了する場合は、オンの箇所をタップしてオフにします。
ライブリスニング機能を有効にする手順は以上です。
ライブリスニングの音量は調整可能
iPhoneのボリューム調整ボタンで、聞こえる音量を調整することもできます。
iPhoneで視聴するミュージックや動画の音量も大きくできる!
ライブリスニング機能で聞こえる音を大きくできるのは周囲の音や声だけではありません。
ライブリスニング機能を有効にしたままiPhoneのミュージックアプリやYouTubeなどの動画を開くと、その音量もかなり大きく聞こえるようになるのでとても便利です(使用する際は音量に注意してください)。
補聴器に比べると安価
AirPods Proの現時点の定価は27,800円(税別)です。
人によっては「イヤホンに3万円近い値段は高い」と感じるかもしれませんが、高いノイズキャンセリング性能もあり、ライブリスニング機能を使え、しかもポケットに入れて持ち運べるほどコンパクトなことを考えると、値段分の価値は十分にあると個人的には思っています。
また補聴器を使われている方にとっては、AirPods Proよりも補聴器の値段がかなり高い(片耳で20万円を超えることもある)こともあり、前述の講座で値段をお伝えしたところ「思ったより手が届きそうな値段」「補聴器よりも全然安い」という声が多く上がっていました。
バッテリー持続時間は補聴器の方が断然長い
AirPods Proを補聴器の代わりとして使えるかどうかについては、私自身に補聴器の専門的な知識がないので断言するのは難しいところです。
知っている範囲で考えると、機器を連続して使用できる時間は補聴器の方が断然長いということ。AirPods Proの持続時間は最大4.5時間程度(使用状況によって変動)です。
ただしAirPodsシリーズはケースが充電池を兼ねているので、ケースにしまっている間は充電することができます。AirPodsを2〜3台持つことでバッテリーの問題はカバーできるかもしれません(2〜3台買っても補聴器よりは安価だと思いますし)。
一方で補聴器は使用する電池にもよるようですが、電池寿命が150時間とされている補聴器の場合、1日10時間補聴器を使用したとすると約15日間使用できるようです。連続して使える長さは補聴器の方が圧倒的ですね。ただし電池寿命のことを考えた場合にコスパとしてどうなのか気になるところです。
おわりに
長い説明になりましたが、実際に難聴の方にAirPods Proを使ってもらい、とても良い印象だったことは鮮烈でした。
補聴器の場合は聞こえ具合などの調整をしてくれるそうなので、その辺りも一概にAirPods Proと比較することは難しいかもしれません。ただ「補聴器を使うほどではないけど、ちょっとした時に聞こえを良くしたい」といった要望にはAirPods Proが活用できるのではないかと思っています。
コメント ( 5 )
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単純に音を大きくするだけですか?それでは補聴器とはいえません。 周波数別に音量を調節できるればよいのですが。
Apple対応のイヤフォンやヘッドフォンを使う場合、ヘッドフォン調整機能やカスタムーオディオ設定機能を使うことで、好みに応じた調整が行えるようです。
またiPhone対応の補聴器を使うと、補聴器のモードをiPhoneから変更できるようです。
約30万円の補聴器をつかっていますが、多分2度とこれは使わないと思う。
AirPods Proを使ったあとでは
両方の発音部分の大きさを比較してみてください。
私の意見はこれだけです。
ウエキさん
補聴器はなかなか実際に試す機会がないので、使用者のご意見はとても参考になります。ありがとうございます。
私は70代の高齢難聴者です。測定してもらったところ、中等度難聴とのことでした。補聴機使う前は、AirPodsProも結構いけると思ってました。20万円もだすのは勿体無いかな、と思ってました。
しかし、補聴機使い出したら、AirPodsProは、ひどい低性能であることがわかりました。全然レベル低いです。
音は少々大きくなりますが音量が足りません。かなり歪んでいます。
実用性ゼロではないでしょうか。
ごく軽度の難聴の人なら意味がもしかしたらあるかもしれません。
20万円の補聴機は伊達ではないです。
補聴機の情報があまりないので(正常聴力の人が試すことができない)、記載しておきます。なお、安い補聴機(両耳で20万円以下)も、役に立たないので、安物買いの銭失いになるだけです。今はシグニア(ドイツ製)のintuisを使ってます。かなり快適です。ただし、雑踏では聞き取りが悪いので、もっと高級なものに変える予定でいます。