イオンの葬祭事業参入、インターネットでの葬祭事業展開
葬祭事業についてのニュースが引っかかったのでちょっと。まずは産経新聞の記事を一部抜粋…と思ったけどメモもかねて全文転載してご紹介します。
不明朗な状態が続いてきた葬儀の料金を透明化する動きが加速している。大手流通のイオンが葬儀ビジネスへの本格参入にあわせて透明な料金体系を導入したところ、割安な料金設定もあって利用者が順調に増えている。利用者の節約志向も料金透明化の追い風になっているようだ。
イオンは平成21年9月、同社が定めたサービスの提供に同意した葬儀業者と連携し、イオンが一括して利用者からの依頼を受け付け、業者を紹介する新事業をスタートさせた。大がかりな宣伝はしていないが、コールセンターを開設した同年9月から現在までに2000件を超える問い合わせや依頼があり、「手応えを感じている」という。
イオンの葬儀事業の最大の特徴は、透明な料金体系だ。祭壇設営費、ひつぎ代、生花、遺影写真、納骨容器などの価格をそれぞれ明文化し、その組み合わせによって29万8000円から148万円まで6つのプランを用意した。同時にプランに含まれていない返礼品、食事代、火葬料、搬送費用、マイクロバス費用を含めた葬儀全体の総額の見積書も提示し、料金の透明化を後押ししている。
葬儀費用は平成19年の全国平均で182万4000円。類似の条件でイオンが請け負った場合、寺院費用を除いて平均で100万7千円に収まるという。また、急な出費となるケースが多い葬儀の特性から、イオンカードの会員を対象に葬儀用の特別枠を設け、カードで支払いできる仕組みも取り入れた。利用しやすい環境を整えることで、シェア10%にあたる年間10万件の葬儀の取り扱いを目指している。
料金の透明化を9年前の創業時から掲げ、九州や首都圏を中心に「家族葬のファミーユ」として葬儀事業を展開するエポック・ジャパン(東京都港区)の高見信 光社長は「想定していたより浸透に時間がかかったが、葬儀業界でも『価格』はキーワードになっている。透明化は葬儀業者が最低限やらなくてはならないことだ」と話す。
葬儀業界では利用者の節約志向を受けて参列者を絞った葬儀や、遺体を安置所から直接火葬場に運び、火葬場で読経を受ける「直葬」も増加している。料金透明化の動きは、消費者の低価格志向とともに今後も広がりそうだ。
このニュースを見たときに「どこかでこのサービスの開始を紹介していた雑誌があったな…」と思いつつなかなか思い出せなかったんですけど、本をあさってて思い出しました。月刊石材の2009年9月号でした。
この号では「流通再大手イオンが葬祭事業に参入。はせがわと仏壇・墓石販売で業務提携」ということで、サービスの概要が取り上げられていました。月刊石材はその他の通り石材屋さん向けの雑誌なのですが、墓石と葬祭事業の関わりから、このような葬祭についての記事も掲載されていたようです。
産経の記事にもあったように、葬祭に関する料金の透明化はこの業界の一つの課題であったと思います。親族が亡くなってすぐ葬儀の準備をしなければならない、精神的にも経済的にも切迫した状況の遺族にとって、葬祭費用についての正確で迅速な判断は難しく、多少費用が膨らんでも葬儀屋の勧められるままに多額の費用をかけてお葬式をしてしまうというケースも多いと聞きます。
逆に言えば業界のこういった問題を解決することが新たな戦略として有効に働く可能性は多いわけで、徐々に新興勢力が葬祭業界に参入してきているという話も聞きます。中には地域の商店が一体となって葬祭業を請け負うというケースもあるそうです。
それに伴ってインターネットが活用される機会もより増えてくると思います。葬儀の手配というと残された遺族の中でも比較的中高年の方が行うことが多く、そういった方々がターゲットになると思いますが、そういった年齢層のネット利用率も侮れませんし、今はネットで葬祭業者を探すなんて考えられないと思うかもしれませんが、より良い業者を探す一つの手段として有効には働く可能性はあります。
理由として、ネットで業者間の比較がしやすいということが大きいと思います。先にも言ったように、消費者が葬祭について抱える大きな問題の一つが「費用」であり、ネットはそれについて比較しやすい特性があるため、より比較検討する際のツールとして使われると思います。すでにいくつもの葬祭に関するポータルなサイトが出てきており、そういったユーザーの比較検討をサポートするサイトなどはより利用が広まってくるのではないかなと思っています。
ちなみに、ただサイト作って葬祭サービス告知だけなら微妙というか、消費者のニーズもしっかり把握しての展開が必要になってくると思います。サービスもより簡素で低価格なものであるとか、逆にこういったこだわりがある(例えば高級死装束のサービス)といったようなUSP(独自のウリ)がより分かりやすい形で伝わるようなやり方が必要だと思います。弔い方ひとつにとってもお墓に納骨だけでなく散骨やペンダントなどの手元供養など、価値観も含めて多様化する中でそれに合わせた戦略が必要となるはずです。
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