なぜ「美少女図鑑」は7日で街から消えるのか?
配布開始まもなくですぐ無くなってしまうという、いわゆる「幻の」と形容されるフリーペーパー「美少女図鑑」。東京以外の全ての道府県で、それぞれの地域でのみ配布されるこのフリーペーパーは各メディアに取り上げられたこともあって知名度も上昇、そのコンセプトや独自の展開性から、数あるフリーペーパーの中でも今特に注目されているものの一つと思います。
その美少女図鑑の仕掛け人が書いたのが本書「なぜ「美少女図鑑」は7日で街から消えるのか?」です。
内容は仕掛け人の著者が、地元新潟で地方をもっと元気にしていくという「クールローカル」というコンセプトの元に活動を開始した流れや、当初は一フリーペーパーの一企画だった美少女図鑑が、どのように全国へ展開されていったかの経緯や紆余曲折が書かれています。
本書には紆余曲折にあたる、いわゆる失敗談も紹介されています。最初は周りの人本位で始めた事業がいつの間にか自分の会社中心になってしまっていたこと、組織内の意思統一のズレなど、普通であれば秘密にしておきたいことであろうことも赤裸々に書かれています。
失敗談の中には個人的に愛読しているドラッカーの教えに照らせば事前に防げたであろうことも多々あり、著者には失礼ですが先の読める失敗例としてある意味興味深く読ませていただきました。例を挙げれば先に述べた、自分の会社中心に事業展開を考え行動したという点では、ドラッカーの有名な言葉「全ては顧客からスタートする」の時点ですでに過ちであろう点などです。
とはいえやはり組織に人が増え、それを維持していく必要が出てきた際には様々な変化に対応することも必要であるため、それがイノベーションとしてプラスに持っていけるか、変化にうまく対応できずに退化するかの見極めは本当に難しいのだろうなと思わされ勉強になりました。
後半では美少女図鑑のビジネスモデルについて細かく紹介されています。青森にももちろん青森美少女図鑑がありますが、こちらには個人的な知り合いが何人か関わっていることもあって少し親近感を持って見ています。
最後の章では、著者がこれまでの経験から得た原則が紹介されています。
- 自分の頭で考え行動する
- あきらめずに努力を続ける
- 中長期的なビジョンを持つ
- 多様性を受け入れる
- 価値の再設定
これらについてはどれもなるほどと思わされる内容で、個人的には「中長期的なビジョンを持つ」に今は興味を引かれました。ビジョンを持つことはすなわち目標を持つことであり、ひいてはそれが行動するモチベーションにもつながるということを最近とみに感じているせいだと思います。
実習生受入も後半に入り、しばらく先のことを見据えて色々考えてみたくなったことと重なっているのかなと自分で感じていますが、ともかくも勉強になりました。勉強になったと言えば、ページの各所に著者がブログで書いている一言が紹介されていて、これがなかなかどれも良いこと書かれているなと感じました。
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