「国内ブログの4割がスパム」にみるSEOの表裏

検索エンジンで探し物をしていて、アクセスしたページが広告でいっぱい(もしくは広告っぽくないデザインにしつつ実は広告だらけ)というケースは誰しもあるんではないでしょうか。アフィリエイト収益を主な目的にしたスパム的サイトが多いですが、ニフティの調査によるとその数は国内ブログのおよそ4割という結果が出たそうです。

ニフティがスパムブログの判別技術を開発、国内記事の約4割がスパム

ニフティは26日、マーケティング分野の社内研究機関「ニフティ研究所」において、スパムブログを判別できるフィルタリング技術を開発したと発表した。

スパムブログとは、アフィリエイトで広告収入を得ることや、特定のサイトに誘導することなどを目的として生成されるブログのことを指す。ニフティ研究所では、手法や目的、内容によってスパムブログを分類。複数のフィルタリング技術を組み合わせることにより、各スパムブログの特性に合わせた最適なフィルタリングが可能になり、スパムブログを自動的に判別・フィルタリングする技術を開発したとしている。

スパムブログの種類については、他のブログやニュースサイトから記事を自動的に引用する「引用スパム」、アフィリエイトリンクを大量に自動掲載する「アフィリエイトスパム」、文章をフレーズ単位で機械的に組み合わせて生成する「ワードサラダ」、同一記事を複数のブログに機械的に大量投稿する「自動マルチポスト」、アダルト系の「わいせつ記事」「出会い系」「ワンクリック詐欺」に分類している。

ニフティでは、開発したフィルタリングの技術を利用して、スパムブログの自主調査を実施。ニフティのブログ評判分析サービス「BuzzPulse」の分析対象となっている4億5,000万記事(2008年3月現在)のうち、約10万記事をサンプルとして調査した結果、毎月約 40%の記事がスパムブログという結果になったという。

ニフティでは、今回開発したスパムブログフィルタリング技術を、ブログ評判検索サービス「BuzzPulse」と、BuzzPulseのオンラインサービス「BuzzSeeQer」に搭載していく予定としている。


ニフティが開発したフィルタリング技術の精度については情報が無いので述べようがないですが、仮にこれが正しいとすればかなりの数の国内ブログがスパムブログということになります。スパムと判定されたブログは検索結果の順位が下降したり検索結果に表示すらされなくなる可能性があるわけで、元々検索エンジンでのSEO効果を期待してスパムブログを作ったユーザの思惑としては本末転倒な結果になるという具合です。

スパムフィルタについては昔から検索エンジンとスパマーとの戦いが続いているわけですが、その精度は年を追うごとに増してきている印象です。普通に考えれば 「引用スパムやワードサラダなんてスパムと判別されるわけがない」と思うかもしれません(実際過去にクライアントからワードサラダをやりたいと言われたこともありました)が、これらについてもすでに無力化が進んでいます。特にGoogleは自社内の技術力だけでなく、1万人とも言われる人的リソースを使ってスパムの監視にあたっていると言われていますし(それに関わる文書の流出騒ぎもありました)、最近では有名大学との連携でスパムフィルタ技術に磨きをかけているそうです。また日本のYahooでも同様に、京都大学・東京大学と産学連携でフィルタ技術の開発を進めているとのことです。

ここで常に問題となるのは、検索エンジンや各サービスが「何を基準にスパムと判定するか」です。SEOをサイトに施したつもりがスパムになるというケースが今後増えないとも限りませんし、以前にもここで取り上げたようにSEOを業者に頼んで逆効果だったというケースは実際にあります。クライアント様からも時々SEOについて聞かれますが、検索エンジンでの順位を上げようとするあまり過度な施策を行うことは多くの危険性をはらみますし、そもそもSEO=「検索エンジンでの上位表示ができる魔法」みたいなある種歪んだイメージが一般のウェブ担当者に広まりすぎている印象があります。まずは良いコンテンツを作るために何ができるか、すべきかを考えましょう。

余談ですが、GIGAZINEによるとスパムブログに対しては「道に落ちているゴミを拾う感覚で通報するのがよい」そうです。

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