【レビュー】クーリエジャポン2010年2月号(Vol.064)
レビュープラス様より戴いた「クーリエジャポン2010年2月号(Vol.064)」のレビューです。
クーリエジャポンはちょっと前から書店で見かけたことがあり、時々によって興味深いテーマが取り上げられてるなとは思っていましたが、他の競合(自分の心の中の雑誌候補)に隠れてなかなか手に取ることがなかったのです。が、今回はメイン特集が「次の、ITライフ。」ということで、それに関わる仕事をしている者として超興味をそそられました。
特集の出だしはこんな言葉で始まります。
「想像してみてほしい。ミクシィもユーチューブもiPhoneも存在しない世界を。いまでは当たり前になったそれらも、わずか数年前には影もかたちもなかったのだ。ITの進化は私たちの暮らしをかつてないスピードで変えてきた。そして、この先も変えていくだろう。この特集で取り上げるのは”夢物語”ではない。すでに海の向こうでは現実となった『すぐそこにある未来』の話なのだ。」
おぉ~そういえば・・・たしかに数年前までなかったけど、すでに(少なくとも自分の中では)当たり前になっているサービスってかなりありますね。この出だしを読んですでにハッとさせられましたが、中身を読んでまたこれハッとさせられます。
目次
映画・SFと思っていたことは”本当に”現実になりつつある。
特集の最初はモバイルについて。今話題のAR(拡張現実)を使った「ゴーグル」を通してみる世界は、映画「マイノリティ・レポート」で街中を歩くトム・クルーズの目に次々と飛び込んでくる動的な広告のシーンを思い出します。これが裸眼ではないとはいえ、ARの機能を使うことで同じようなことが現実のものになりつつあるというのは本当に驚きです。GIGAZINEでも軍の機器整備か何かの作業で、ARを利用したナビゲーションが活用されているという例がありました。
(拡張現実技術を利用し、何をどうすればマシンを修理できるか教えてくれるゴーグルが開発中)
ここで自分の中に移った「未来のIT」は、自宅のPCの前にいて旅行の調べものをするのではなく、とりあえず家から出て現地に飛び込み、そこでARを通して目の当たりにするナビゲーションの数々に身を任せながら行動するという感じでしょうか。消費者行動のAIDMA(注意→関心→願望→記憶→実行)からAISAS(注意→関心→検索→実行→共有)へのフロー変遷が言われたように、また新しいフローが体系作られるかもしれません。あるいはそれぞれの行動が同時に進行するようなフローさえ考えられるんではないでしょうか。
(追記:2010年1月19日付のInternet Watchに、「セカイカメラから楽天トラベルの宿泊施設予約が可能に」という記事もありました。もうあるじゃんというか、これがもっと裸眼に近い状態で行われるのが未来な感じもしますが、見えっぱなしになるのもまたそれはそれでという感じもしますね。)
ゲーム産業の変化はチャンスか破滅か?
また、ゲームについての記述では、「Onlive(オンライブ)」と呼ばれる新しいサービスの登場により、5兆円を超える現在のゲーム産業の常識を覆す可能性があるという内容が衝撃的です。簡単にいえば全てをクラウドに集約してゲームをストリーミング配信するというもので、ユーザーはダウンロードにイライラさせられることもなく、しかも古いスペックのPCであっても高画質な動画でゲームを楽しむことができるというもの。ゲームのソフトもダウンロードする必要はなく、ゲーム機すら不要というまさに「クラウド」なサービスです。
しかし、この「オンライブ」が普及すれば、ゲーム機を売る小売業者や中古販売業者など、市場淘汰される分野が多数出てくることになります。ゲームメーカーもゲーム機自体が売れなくなるという可能性も出てくるため、まさに業界の常識が全く変わってしまうわけです。
とはいえ「オンライブ」が必ず成功すると断言されているわけでもなく、現在の知名度や莫大な開発費・コストなどの問題も指摘されています。あるいはマイクロソフトなどが「次世代のXbox」としてオンライブを取り込むというシナリオもあるかもしれません。
こういった業界変動の流れはゲーム業界だけではないかもしれません。全く関連性がないと思われる業界(例えば住宅や車業界など)も、このクラウドが関連してのなんらかの変化がこの数年のうちに起こってくるかもしれません。ひょっとしたら先に紹介したARも絡んでくるかもしれませんね。住宅や車でいえばARの方がより現実味がある気がします。
ここまでずらずらっと特集のセンテンスを抜粋して紹介いますが、順番にひとつずつというわけでもありません。音楽分野についてはあまり興味がわかなかったり、ソサエティーについては興味はあったんですがあまり先進的な内容は少ないように感じたので(バイラルの辺りは他でもよく見かけますので)、これらのレビューはとばして書籍分野について。
電子書籍の普及は楽しみ。
今年「来る」と言われている電子書籍市場。アマゾンのキンドルがよく話題に上っている気がしますが、紙面でもやはり取り上げられています。自分が電子書籍に期待する一番の理由は物的な理由というか、仕事で移動する際に持ち歩く本の量が結構なものなので、これの解決策としての面です。なんといってもこれです。それまでCDケースに入れて持ち歩いていた大量のCDをipodひとつに入れるという利便性と同じですね。
ということで個人的には電子書籍には結構期待してまして、早く良い製品と使いやすい状態(欲しい本が購入しやすいとか)にならないかなと心待ちにしています。
機能についてはやはりというか、実際の本を読むのと同じような機能が欲しいと思ったりします。本をパラパラとめくるような感じの機能が欲しいなあと。あとPDFも読める機能は個人的に必須です。scansnapを買ってからは紙データを手当たり次第PDFにしてますので、それらの膨大な資料を素早く閲覧できるデバイスとしてバリバリ使いたいなと。
あとちょっと意外性を期待するというか、こちらは紙面にも書かれているのですが、「電子書籍を利用することで読書量が増える」こともあるかなと思っています。電子書籍で読むことによる利便性が大きければ、今の読書がより早く、より質の高いものにならないとも言えないと思います。そんなわけで結構多くの期待をこの電子書籍のデバイスに期待しています。
ということで特集「次の、ITライフ。」の中で特に興味のわいた「モバイル」「ゲーム」「電子書籍」の3つについてでした。
紙面では特集の他にも世界情勢などグローバルな話題がたくさんです。実はアップルやグーグル、twitterの創業者たちについても紹介されていて興味深かったのです。あとはウォルマートとアマゾンの対決図式についての記事も面白かったです。アマゾンの消費者行動を読みとる戦略がピタリピタリと当てはまって勢力を拡大しつつある中、小売り業界の雄ウォルマートが将来どのような戦略をとっていくのかなど、日本の話題でなくとも楽しみになるような記事でした。
長々となりましたが、クーリエジャポン2010年2月号(Vol.064)の内容を読みつつ、未来のITライフに思いを巡らせたり次世代の戦略をイメージするのも良いのではないでしょうか。すくなくとも自分はかなり自分の仕事に参考になるイメージを持てた気がします。読んだ甲斐があったなという実感があります。
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