働かないアリに意義がある【読書レビュー】

安藤です。働きアリのうち2割は働かず、その2割だけを集めてコロニーを作るとそのうちの8割は働いて2割は働かないままという研究はわりと有名ですが、本書を読めばその理由がわかります。

一見するとアリも人間のように働き者もいれば怠け者もいるんだなと思っていましたが、話はそれほど単純ではないみたいです。働きアリにもいろいろな仕事がありますが、もしみんなが働き者だとひとつの仕事にみんなが取り組んでしまい、他の仕事が疎かになってしまいます。人間であればリーダーが全体を見て仕事をうまく配分したりしますが、アリの脳は小さいのでそのような高度なことはできません。そのためアリは仕事の取り掛かりやすさに個体差を設けることで、必要なところに必要なだけの人員(アリ員)を割いているそうです。そのせいで一生のうち一度も働かない働きアリも存在してしまいますが決して怠けているわけではないんですね。

もう一つ面白いことは、働きアリはなぜ自ら子供を産まず、女王の産卵を手伝うのかということです。これも、本書を読むまでは働きアリは自分を犠牲にして女王に尽くしているかもしくは奴隷のように従わさせられているのだと思っていました。しかし、働きアリも他の生物の特徴に漏れず、自分の遺伝子をより多く後世に残すために女王の子供を育てていることがわかります。驚くことに自分で子供を生むよりも女王の子供を育てたほうが自分の遺伝子がより多く受け継がれるというのです。

こうして見るとアリの社会は一見利他的に見えて実は利己的なんですが、それでも全体としてはうまいこと機能しています。このシステムを研究することで人間の社会もうまいこと応用できたらいいなと感じました。

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