聴覚障害者向けiPad講習会を2日間させていただきました
2012年2月26・27日の二日間、青森市総合福祉センターで聴覚障害者向けiPad講習会をさせていただきました。
去年は視覚障害者向けiPad講習会を何度かさせていただきましたが、今回は初めて聴覚障害者さん向けiPadの講習会となりました。
昨年暮れから聴覚障害に関わる方々へヒアリングをさせていただいたりしながら準備を進めてきました。頭の中で視覚障害者向けの内容とこんがらがったりして、VoiceOver(iOSの音声読み上げ機能)のジェスチャー表を準備してみたものの、直後に「これは使わないじゃないの」と気づいたりとか色々しながらも、様々な方々(青森県ろうあ協会の方々、青森県庁の方々、通訳者の皆さん)にご協力を頂いて無事開催することができました。
講習会はまずは何にせよ、とにかく楽しかったです!多分私だけではなくて参加して頂いた方々もだったと思いますし、通訳者の方も含めて皆で楽しい2時間を過ごせたというのが大きな印象でした。
やはり視覚的にiPadを使えるということが大きく、通訳者(この日は手話)の方に通訳をしてもらうことと聴覚に依存するアプリを使わないこと以外では、健常者向けの内容とほとんど変わらないことができたと思います。また、画面を指差してタップやフリックなどの動作を説明するくらいであれば皆さんも理解できるので、通訳を介さずに理解してもらえた場面もあったのではないかと思います。
視覚障害者向けiPad講習会の際はVoiceOverの音もあって会場は結構賑やかな感じなのですが、今回も実はわりと音的に寂しくない感じでもありました。私は説明を口頭で行いますし、通訳の方が私や参加者の手話を逐一訳してくださるので、意外に賑やかなんですね。皆で笑ったりする場面も多く、終始楽しい雰囲気でした。参加者の皆さんも手話で逐一反応してくれたり質問をしてくださりして、こう言っていいのか分からないんですが「パントマイムで笑いが通じる」みたいな部分があるというか、通訳の方の協力も合わせてコミュニケーションが終始取れていた気がします。
興味を持ってもらったアプリは様々ありますが、どちらも人気が高かったのはコミュニケーションツールでした。Skypeでのビデオ通話機能で手話をやり取りされたり、絵を共有して描けるアプリ等も反応が良かったです。筆談については自分で書いた文字が同時に相手側に合わせた向きで表示されるアプリなども良さそうでした。筆談をする際に紙に書いたものを相手に向き直す必要が無いので、こういうちょっとしたツールも好感触でした。
流れを決めず、参加者のニーズに応じて紹介
また今回は講習会の流を決めず、参加者の皆さんの反応や質問、興味に応じて紹介する内容を随時変えていきました。扱えるアプリの幅が広いこともあり、また通訳者の方からも「ボタンの説明を一から全部するより、参加者の質問があった時に都度説明してもらった方が良いと思う」というアドバイスを頂いたこと、それから何に興味を持ってもらえるかは参加者一人一人違うため、説明必須な内容や紹介するアプリの候補は事前に踏まえておきつつ、その日その場の状況に応じて紹介する順序やタイミングを変えることにしてみました。
例えばiPadを手に持った時に画面の傾きが変わったら、何故変わったのか、それを制御するのはどのボタンなのかを説明したり、傾きが影響するアプリを紹介したりといったことです。前述のように視覚障害者に比べてできることが多いぶん教えられることも多いわけですが、1~2時間の間に覚えたり理解できる内容はそう多くはないですしかえって混乱させる場合もあるわけで。であればある程度必須の内容を抑えつつ、優先順位の低いものは参加者のニーズに応じて紹介したりしなかったりで良いかなと考えました。
このやり方は結構下準備が必要かもしれません。質問がありそうなアプリをインストールしておいたり調べておいたりと手間はかかるかもしれませんが、参加者の知りたいことに合わせて進められれば理解度も高まるので良いと思います。
時間の流れも視覚障害者の方向けとはだいぶ異なる感じです。視覚障害者向け講習会(全盲の方向け)の場合は基本的な操作やジェスチャーに時間の多くを使いますが、聴覚障害者向けの今回はアプリの説明に多くの時間を使えました。そのため比較的ゆったりしたペースで進められた感じがします。
障害を問わず講習会をしてみたいです
機会があれば今年はまた何度か講習会をさせてもらえればと思っています。余談ですが今年は10月に岩手の方で視覚障害者向けのiPad講習会をさせていただける方向で進んでいます。また、今年は他の障害にも関わってみたいと思っています。興味のある方がいらっしゃいましたらinfo@hpstyling.comまでご連絡ください。
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