電子書籍アプリ「iBooks」で本の購入が可能になった件をレビュー

IMG_0662iPadやiPhoneなどで使える電子書籍アプリ「iBooks」で、ついに一般的な本の購入ができるようになりました。

以前から海外向けには多くの書籍が先行して販売されていましたが、日本向けは実質一般的なビジネス誌や漫画といった本は販売されていませんでした(買えるのは坊ちゃんくらいだと揶揄されていました)が、ようやくといったところです。

ただし今回の件について個人的には結構浮き沈みが激しい感想を持ったのでメモしておこうと思います。

目次

すでにKindleで良いんじゃない?

今回のニュースを聞いた時、すでに昨年末に起こったAmazonの旋風に比べるとややインパクトがないかなというのが最初の印象でした。Amazonで電子書籍が日本でも購入できるようになり、それをタブレットやスマートフォンで読むためのKidleアプリや電子インクで目に優しく読むことのできるKindle PaperWhiteの販売など、一連の電子書籍ブームに対するAmazonの戦略は非常に精度の高いものだったという印象があります。

それに比べると今回iBooksで本が購入でき読めるようになったことについては、すでにKindleアプリで実現できています。Kindleアプリ単体では本を購入できないのに比較してiBooksではほんの閲覧と購入が1セットになっているという違いはありますが、これもKindleから乗り換える強い動機になるとは感じません。

電子書籍は一元化したい欲求が高まりつつある

これまで様々な電子書籍を販売するプラットフォームから電子書籍を購入してきましたが、購入元のアプリやプラットフォームが増えるにつれて感じる不満点があります。それは「本を読むために別々のアプリをインストールしたり、それぞれ異なる操作性に慣れる必要がある」ということです。これは電子書籍を読むことにおいて一つのネックと感じつつあります。どうせなら「本を読むならこのアプリ」と統一できればユーザーとしてこの辺りの問題は解決されます。そのためにもプラットフォーム側やアプリ開発側としては先行者になることが非常に重要だったと思います。

Amazonは日本においてこの点では後発でしたが、先に述べたようなKindleアプリや電子インクデバイスなどの投入によってこの劣勢を跳ね返している印象です。

iBooksアプリでは本の内容を音声読み上げできる?

電子書籍の画面例ここまで書いてきて、いかにiBooksへの期待値が低いか伝わるかもしれませんが、ふと気づいたことがありました。iBooksではepub形式の書籍に対して音声読み上げ機能(VoiceOver)を使うことで文章を読み上げることができます。であればiBooksで購入した最新の本を音声で読み上げることができれば、これこそ新しい価値なのではないかと期待が膨らみました(Kindleアプリで開く電子書籍はVoiceOverでの読み上げに対応していません)。

視覚障害者の方などは本を読むために点字訳された本や音訳された本を利用されますが、訳に時間がかかるため新しい本を読むまでに時間がかかったり、絶対量として少ないといった問題があります。iBooksで販売される電子書籍がこの問題を解決するのでは…と思い、サンプル版をいくつかダウンロードし、VoiceOverを起動して読み上げてみました。

結果として私が確認した範囲では、快適に本を読み上げていくことは残念ながらできませんでした。(後述の追記参考)画面に表示された本文を自動で読み上げようと試みたのですが、何故か次のページの冒頭を少し読み上げる程度で全文は読み上げられませんでした。ただし、タップした部分の一行は比較的正常に読み上げられたので、弱視の方が音声で文章を確認したいくらいであれば使えるかもしれません。

追記:Twitterで「表示の設定をいじるとボイスオーバーでも読み上げできるようになりそうです」とご指摘いただき、スクリーン表示を「スクロール」に変えてみたところ、結構普通に読み上げました!やや読み上げがおかしくなったりする箇所や、見出しスキップなど文中を快適に読み飛ばすといったことは難しいですが、ただ読み上げるということであればいけそうです。@shinagyさんありがとうございます!

といった感じで結局iBooksへの期待値は上がることなく停滞したまま今回は終わりましたが、また新しい発見があるとも限らないのでちょくちょくチェックしていきたいと思います。

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