無印良品の「あれ」は決して安くないのに なぜ飛ぶように売れるのか? 【読書レビュー】
レビュープラスさんからの頂きものが続きます。「無印良品の「あれ」は決して安くないのに なぜ飛ぶように売れるのか?」を読みました。
帯に「ヒットの秘密はコンセプトが9割!」とあるように、コンセプトがテーマの一冊です。コンセプトがいかに重要なのか、企業の栄枯盛衰を事例に挙げながらコンセプトにおける事前知識、作り方、使い方が体系的に網羅されており、コンセプトワークに関する一つのフレームワークを提示しています。
コンセプトの作り方の中ではSWOT分析やペルソナなど、マーケティング関連のフレームワークや用語も出てきています。フレームワークはそれ単体で使用するよりも、より大きな枠組(それこそコンセプトワーク)の中の一角を担う要素として使用することでより大きな効力を発揮します。その意味では言葉でしか知らなかった、うまく活用できなかった単体のフレームワークを活かすために本書の内容は使えるかもしれません。
個人的には「インサイト(insight)」に反応しました。ユーザーの潜在的ニーズを把握するためには観察するしかないと著者は言います。その潜在的ニーズのことを「インサイト」と言うのですが、以前から気になっていた「行動観察」の分野でもインサイトは重要なポイントであり、それを見つける方法としてフィールドワークによるターゲットの観察が重要視されています。
ビッグデータが話題の昨今であり、その重要性ももちろん理解していますが、観察によってインサイトを発見し、コンセプト作りや問題解決の糸口にすることも劣らず重要と思います。今も昔も「現場」の重要性は変わらず、そこから気づきを得る手法が数多く出てきているということであって、いずれにせよ「答えは現場にある」「答えはユーザーが持っている」というのは普遍的なものと思います。
ただし答えを持つユーザーが意図的であるにしろ無いにせよ、それを正直に教えてくれるとは限りません。その答えを探すための手法としてビッグデータや観察が有効というのは同意できます。個人的に自分の仕事の中でも、この観察ということに関してはかなり前から重要視していますが、これを具体的な行動につなげていかなければとも考えています。
本書もしかり。冒頭で紹介したように本書はコンセプトを作るための方法から導入までひと通りのことを網羅しています。あとはこの手法を実際に使うか否かだと思います。文中で引用されているチャールズ・ダーウィンの言葉「生き残るのは唯一、変化に対応できる生き物である」の通り、変化の激しい時代にあっていかにその時代にあった自らのコンセプトを定義し、それを実行できるかを考えることはとても大切なことだと思います。
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