警告<目覚めよ!日本> (大前研一通信 特別保存版 Part.V)

警告<目覚めよ!日本> (大前研一通信 特別保存版 Part.Ⅴ)レビュープラスさんから送っていただいた警告<目覚めよ!日本> (大前研一通信 特別保存版 Part.Ⅴ)を読みました。

大前研一さんの書籍は以前もレビュープラスさんからいただいた「お金の流れが変わった! -新興国が動かす世界経済の新ルール-」で読んだことがありますし、監訳・翻訳など関連する本を何冊か読んだことがあります。「お金の流れが変わった!」は当時自分があまり興味のない世界経済についての内容でしたが、分かりやすい内容でとても勉強になった覚えがあります。思えばあの本を読んでから少しずつ世界や大きな経済といったことに興味を持つようになり、ニュースの意味が分かるようになったような気がします。

今回いただいた本書は大きく以下の五点について書かれています。

  • 世界経済
  • 日本社会
  • ビジネス・経営
  • 震災復興
  • 教育・生活者

いずれも大前さんの主張であり、書かれていることが全て現実になったり正しいのかについては深い知識を持ち合わせていないこともあり、分からない部分もあります。ただ個人的にはなるほどとうなずくような点が多いと感じました。

世界経済編ではこれまで書籍「2012年、日本経済は大崩壊する!」や週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済等で取り上げられていた同分野の情報を見ていたので、内容については新鮮さを感じるネタは少なかったですが、EURO問題やアメリカ経済危機、中国の不動産バブル等といった世界経済から今後への提言や対策などにはやはり興味を持って読めました。多少極端と感じるようなことでも、問題提起だけなら誰でもできるのでこういった提言が書かれているのは面白いです。

日本社会編では日本の赤字国債問題やそれによる国家経済破綻についてが中心ですが、この中で実質的に取りうる手段はインフレ政策しかないと提言しています。そもそもよくよく考えれば支出が税収を大幅に上回る予算組みを繰り返している状況は明らかにおかしいわけですが、「増税」に対して極端にネガティブキャンペーンを展開しているのはマスコミだけではなく国民自身でもあるということを認識するべきかもしれません。今ギリシャが大幅な財政削減を行い大きな反発を国民から受けていますが、政府としてもそれしか手段がないということでもありますし、それを検証してこれなかった国民にもいくらかの非はあるわけで。そういう観点からいえば日本もより多くの目と頭で今後の国内経済の在り方を真摯に考えるべきだろうとも感じました。

ビジネス・経営編ではその名の通りビジネスについての興味深いネタがたくさんありましたし、震災復興編では「これが復興の最強プラン!」として浸水が予想される土地を「フラッドプレイン」にまつわる「津波プレイン」「液状化プレイン」などといった土地の在り方についての提言が興味深いです。リスクのある土地を明確にし、リスクの取れる土地を格安にするなどといったプランで、日本ではすぐに普及は難しいにしても面白いアイデアだなと。

個人的に本書で一番興味深かったのは最後の「教育・生活者」編でした。「シェアリング(共有)」という概念から、変わりゆく生活スタイルとそれに対応できない業種のギャップなどもあり興味深いですが、今の日本の教育から経済停滞にまつわる話、そして今後個々人がどう意識をしていくべきか、どのようなことをしなければならないのかといった内容がてんこ盛りです。そしてここでも各国の好例を取り上げて紹介されており、世界を意識するようにと筆者がいわんとするところが感じられます。インターネットを始めとして世界がフラットになりつつある今、国内だけを見ていては間違うという感覚は以前から感じていましたが、現状に対して「自分ならばどうするか」を常に考え鍛錬していくことの重要性を改めて感じました。

本書は以上のようにとても内容が多岐に渡るものですが、どれも比較的簡潔で各トピックがコンパクトにまとまっているので読みやすいと思います。1ジャンル1冊で深く読むというのも良いですが、本書のように様々な分野の話が少しずつまとめてあり、しかし全体としてはどの内容も関連性があるという見せ方は面白く上手いなと感じました。面白い1冊でした。

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