「絶対貧困」

絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)多くの本屋さんでブックフェアが開催されていて、最近本屋さんに行くといつも立ち寄ります。新潮文庫フェアは古典文学もあったりするんですが、ひとつ気になって買ったのが「絶対貧困―世界リアル貧困学講義」です。

あっという間に読了した二つの理由

この本は二つの理由であっという間に素早く読み終えました。ひとつは著者(石井光太)の軽妙な文章が面白く分かりやすく読みやすかったこと。そしてもうひとつは内容の凄惨さです。

タイトルの通り、世界各地の貧困について「スラム」「路上生活」「売春」の3テーマを軸に紹介されているんですが、自分が思っていたよりも凄惨な内容がいくつか紹介されていて、「これじっくり読んでたら病む」と思って結構早めのスピードで読み進めました(著者の他の書籍ではもっと過激な描写もあると思います)。とはいえ貧困にあえぐ人々の現状がすべからく地獄のような状態ではない部分もありますし、著者が軽妙な調子で面白く書いている箇所も多々あり、そのお陰で楽しみながら読み進められるところもあります。

著者がすごいのは実際に貧困地帯に赴いて現地の人と一緒に生活をしたり仲良くなったりする中で実情をレポートしているところですね。生死の危険も少なからずあるだろうにと思うと驚かされますし、中にはほろりとさせられるストーリーもあったりと読みごたえ十分です。

読む中で改めて考えさせられるのは、貧困にある人も裕福にある人もそれぞれの考えや環境、理由などが複雑に混在するということです。テロに走る人には相応の理由があったり、子どもを売る親にもまたそうせざるを得ない理由があります。事象の片面だけを見て一概に判断できない難しさが国際問題にはあることを改めて考えさせられます。

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