W3CがXHTML 2の策定打ち切りを決定、HTML 5の標準化へ
Web制作者にとってはかなり大きなニュースですね。個人的には今年1番かな。
W3CがXHTML 2の策定打ち切りを決定、HTML 5の標準化に注力へ
Web技術の標準化団体W3C(World Wide Web Consortium)は7月2日、マークアップ言語「XHTML 2」の策定を打ち切り、「HTML 5」の標準化に力を注ぐことを明らかにした。
XHTMLはHTMLのXMLベース・バージョンであり、W3Cがこれまで標準化に取り組んできたXHTML規格としては、XHTML 1.0やXHTML Modularization、XHTML 2などがある。XHTML 2の大きな目的は、モバイル・システムに対応した機能や国際化機能の提供だった。
W3CのXHTML 2ワーキング・グループのチャーター(趣意書)は2009年末に失効することになっており、W3Cは今回、これを更新しないことを決定した。その代わりに W3Cは、HTML 5ワーキング・グループに投入できるリソースを増やすことで、HTML 5の仕様策定をスピードアップさせるとともに、HTML 5を重視する姿勢を明確にしようとしている。(Computerworld Globalより抜粋)
本家 W3Cのサイトでも「XHTML 2 Working Group Expected to Stop Work End of 2009, W3C to Increase Resources on HTML 5」と出ていました。
HTMLが生まれてからその後、XMLフォーマットを軸にした流れへ動くと予想され生まれたXHTMLでしたが、 年月を経て再びHTML自体のバージョンアップへ進むという回帰(ただしHTML5でもXML構文の互換性は保証されるとFAQにあります)。XHTML自体はWWWの生みの親であるティム・バーナーズ・リーも賛同していたと記憶してるんですが、シンプルに一本化されると思えば良かったのかなと思っています。
個人的にもHTML5には最近の話題性から気になっていて、調べれば調べるほど「良い」と思える節がありました。それはブログでも書こうと思ってタイトルだけ用意していたんですが、HTML5では様々な意味付け要素が増えていることから、アクセシビリティへの配慮がある意味かえってやりやすいと思えていました。
例えばHTML5ではベースを組む要素として以下のようなものがあります。(以下IBM HTML5 の新要素より)
-
section
: 本の一部あるいは章、章のセクション、あるいは基本的に HTML 4 で独自の見出しを持つすべてのもの。 -
header
: ページに表示されるページ・ヘッダー。head
要素と同じではありません。 -
footer
: 細かい文字での説明が入るページ・フッター。E メール・メッセージの署名。 -
nav
: 他のページへのリンクの集まり。 -
article
: ブログや Web マガジン、一覧記事などに掲載されている個々のエントリー。
今までのHTML4.xやXHTML1.0では、こういったレイアウトに使えつつ意味付けされた要素は少なかったんですが、これだけでもページ内の各要素に対して明確な意味付けができます。他にも、
-
aside:
注記やヒント、サイドバー、引用、括弧によるコメントなど、話の流れから外れたものを表す。 -
figure:
標題と共にブロック・レベルの画像を表す。 -
dialog:
何人かの人の間での会話を表す。
といった結構細かい、かゆい所に手が届く、ある意味ユーモアのある要素もあります。他にも各所でよく紹介されるのは映像を扱える<video>や動的にグラフや図形を描画できる<canvas>などがあります。
これらは最初こそ混乱するかもしれませんが、上手く使えればアクセシビリティへの配慮に還元できると思います。例えば実際のサイトによく出てくる「サイトマップ」「アクセスマップ」「プライバシーポリシー」「お問合せ」といったページへのリンクを、ページ内のどこに配置するかというのはそれぞれのサイトの自由ではあります。つまり多くのサイトでの統一がないためにその都度ユーザはそのサイトのどこにそういった情報があるのかを確認する必要があります。
しかし、HTML5で意味付けされた要素を使えば、(どういった内容に対してどの要素を使えば良いのかはまだ分かりませんが)置き場所が曖昧でも要素の上では正しい場所へ上で述べた各リンクを置くことで、広く統一が図れるのではないかなと思います。
それができれば見た目ではなくソースを解析してページの内容を理解する障害者ユーザの方が、健常者ユーザより情報をスムーズに得られるようになる可能性があると考えています。
音声読み上げソフトは現在でも見出し要素のスキップ機能や箇条書き要素の数をカウントする機能などがあるので、HTML5へ対応することにより、障害者ユーザには今よりもっと快適にWebを使ってもらえる可能性が出てくるのではないでしょうか。
ちなみに、XHTML2のワーキンググループが打ち切りになるとは言え、HTML5はまだ策定中の曖昧な仕様のままなので、今すぐ制作をHTML5へシフトすることはまだちょっと早いと思います。が、AppleやLivedoorなどいくつかのサイトで実験的にHTML5を使ったページが公開されているように、今のうちから少しずつ手を付けておくのが良いと思います。
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