「バイラル・ループ」

バイラル・ループ あっという間の急成長にはワケがあるレビュープラスさんより「バイラル・ループ あっという間の急成長にはワケがある」の見本版を戴けたのでレビューをアップします。

ちなみに販売されている書籍版と比較はしていないのですが、ページ数はほぼ同じだったので内容も同等のものだと思います。

バイラル・ループの意味については本書の前書き冒頭で、ITジャーナリストの佐々木俊尚さんが以下のように紹介されています。

バイラル・ループというのは、インターネット上でブログやツイッター、ユーチューブなどのソーシャルメディアを経由して、情報がウイルスのように伝播していく現象のことだ。

昨今のビジネス・商業系の雑誌では毎月のように「ソーシャルメディア」について取り上げられています。それほどまでに今注目されているキーワードでもあり、その様子を端的に言い表しているのが「バイラル・ループ」と言えます。

古き良き事例

ツイッターノミクス TwitterNomicsこれまでにもソーシャルメディアの在り方や事例について翻訳版が数多く出版され、このブログでもツイッターノミクスつぶやき進化論のレビューをアップしてきました。ソーシャルメディアという同じテーマを扱う多くの書籍の中で本書「バイラル・ループ」の特徴の一つは、ソーシャルメディア活用の元祖と本書が述べるタッパーウェアの事例や、かつてのブラウザシェア戦争にまつわるマイクロソフトとネットスケープの闘争を取り上げるなど、比較的古い時代、もしくはインターネット黎明期にスポットを当てていることです。

つぶやき進化論 「140字」がGoogleを超える! (East Press Business)今でこそインターネットとソーシャルメディアの活用が注目されていますが、元をたどれば昔から口コミでの話題の広がりやビジネスの活用にソーシャルな要素が関わっていたことが改めて詳細に紹介されています。個人的にはネットスケープやモザイクといった初期のブラウザソフト開発に携わったマーク・アンドリーセンのエピソードが特に興味を引かれました。マイクロソフトとのブラウザ闘争にまつわる彼のエピソードについてはWikipediaでざっくり把握できますが、本書を読むとよりリアルにその流れを追うことができます。Web業界に関わるものとしてはこと読み応えがありました。

本書の中盤までは比較的上記のような企業や個人のバイラル・ループに関する事例が詳細に紹介されています。他のソーシャルメディア系書籍に比べると若干専門用語が多いような感じがしましたが、個人的には自分寄りの分野だったのでより詳しく理解することができた感じがします。

各エピソードがつながる展開

シン・シティ プレミアム・エディション [DVD]深く紹介してしまうと面白味が亡くなると思うので述べませんが、各章で紹介されている事例のいくつかはそれぞれ独立した話題でありつつも、登場する人物が重なって登場するという場面がいくつかあります。これは意外に面白い展開で、映画で例えるならば洋画「シン・シティ」といったところでしょうか(以下少しネタバレ注意です)。

シン・シティでは3つのエピソードに登場する人物が同じ場面に登場するシーンがありますが、本書では各登場人物がより密接につながりあう展開も見られ、面白さを引き立てています。また、各登場人物についての容姿や性格、仲間とのやり取りも詳しく書かれていて読み応えがあります。

ソーシャルメディアの本質と成功の条件

冒頭でも述べたように、ソーシャルメディアを利用した広告手法や事例が頻繁に雑誌やウェブで紹介されています。しかし、なんでも全てがソーシャルメディアの恩恵に預かれるというわけではなく、いくつかの条件があると本書では述べられています。その一つが、以下に引用する起業家アンドリュー・チェンの言葉です。

バイラル・ループは「現在、世界で最も先進的なダイレクトマーケティング戦略」だ。ただし、従来のマーケティングとは位置づけが異なる。製品やサービスが本当によくできている場合のみ、バイラル・ループが生じる。

そもそもバイラル・ループやソーシャルメディアでの盛り上がりのきっかけにはユーザーの興味を引くことが欠かせません。故に、何の特徴や面白味のないモノではそもそも何の波風も立たせることはできないというわけです。

また、バイラル・ループを実際に起こした企業の成功例について、以下の共通する特徴を挙げています。

  • ウェブベース
  • 無料
  • 統合化のためのツールを提供
  • コンセプトが単純
  • バイラル・ループの種を内包
  • 成長が加速度的
  • バイラル係数が高い
  • 成長率が予測可能
  • ネットワーク効果
  • 相乗効果
  • 他の追随を許さない
  • 究極の飽和状態

これらのことについても、本書が事例とともに紹介してくれます。ケーススタディ集としても重宝しそうな良書だと思います。

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