全盲の方がiPod touchをキーボードで操作するためのサポートをオンラインでお手伝いしました
2020年6月4日、全盲の方がiPod touchをキーボードで操作するためのサポートを、オンライン経由でお手伝いしました。
今回は人財育成講座の受講者さんを中心にしたサークル「Tap Tap Support」の活動ということで、以前講座を受講してくださった蕨さんがメインのサポート役。今回は遠方ということもあり、私はLINEビデオをつなげてもらってオンラインでお手伝いしました。
今回の相談者は八戸市在住の全盲の男性。iPod touchを、音声読み上げ機能「VoiceOver」を使いつつ外付けキーボードで操作できるようにしたいというご相談でした。
iPhoneやiPadの影に隠れてあまり知られていませんが、iPod touchはいわば「電話機能のないiPhone」のような機器。月ごとの通信料金がかからず、自宅や公共施設の無線LANを使えば普通にネットも利用できます。
機能的にもiPhoneとほぼ同じなので、VoiceOverなどのアクセシビリティ機能も使えます。そして何より安価。32GBは21,800円(税別)から購入できます。
今回のサポートで肝だったのは、「外付けキーボードでどこまでiPod touchを操作できるか」でした。
全盲の方は指先の感覚を頼りに生活されていることが多く、ツルツル平面のディスプレイよりも、指で触ってキーの配置や押し込みの感覚がわかる物理的なキーボードの方が使いやすいと感じるそうです。
まずは相談者ご自身で購入されたキーボードをiPod touchにBluetooth接続。これは問題なし。
VoiceOverでキーボード操作を行う際のポイントは「VOキー」
続いてVoiceOverを起動した状態のiPod touchを、キーボードでどこまで操作できるかを少しずつ試していきました。
画面内のフォーカス(選択)移動は左右のキーで行えました。これは問題なし。
キーボードで操作する上でできるようになりたい操作としては
- アプリを開いたり、選択したボタンをタップする
- ホームに戻る
最低限この2つが必須です。
VoiceOverを起動した状態のキーボードでこれらの操作を行うには「VO(VoiceOver)キー」がポイントになります。
VOキーとはいわゆるショートカットキーの役割をするキーのこと。Macのキーボードであれば「control+option」キーの同時押し。Windowsのキーボードは「control+alt」キーになります。
あとはVOキーを押しながらそれぞれ役割を割り振られたキーを押すことで、さまざまなショートカットを実行できます。
たとえば「アプリを開いたり、選択したボタンをタップする」には「VOキー+スペース」を押します。これでフォーカス上のアプリを開いたりすることができます。
アプリ画面を開いた状態からホーム画面に戻るには「VOキー+H」。これで「アプリを開き、ホームに戻る」という一連の動作を行えます。
このショートカットの組み合わせはしばらく使っていなくてだいぶうろ覚えだったのですが、メモアプリに最低限のことをメモしたことがあるのを思い出し、検索して見つけることができ、ご案内できました。
結果、キーボード操作で問題なくアプリを開いたりホームに戻る操作が行えたようでした。
今回相談者から希望のあったアプリは「radiko.jp」と「NHKらじるらじる」。radiko.jpは少々クセのある場面もありましたが、どちらもほぼキーボードでの操作でアプリを開き、任意の放送を選んで再生するところまでの操作ができました。
ラジオアプリなど音声や動画を再生するアプリで知っておくと便利なVoiceOverのジェスチャーがあります。それは「2本指でタップ」。これは音声や動画の再生・停止を切り替えるジェスチャーです。
これをVoiceOver起動時のキーボードで行うショートカットは「VOキー+マイナスキー」。これのおかげでわざわざ再生ボタンを探さなくても、画面上に再生ボタンが表示されていれば放送を再生・停止することができました。
使いたかったアプリの操作がキーボードで行えたことで、相談者さんはとても喜んでくれました。蕨さんの丁寧で根気良いサポートの賜物でした。
キーボードで操作できれば、平面ディスプレイを敬遠しがちな方もiPhoneやiPadなどの機器を便利に使えるのではと思います。こうした活用法は広く知っていただきたいですね。サポート役の蕨さんおつかれさまでした!
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