「600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス」

600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書)Webを生業にしながら久しくWebらしいことをブログに書いてなかったんですが、レビューがてら久しぶりにWebに関連したことなどを。

先日書いた人材育成事業での講師の際に、参考とするべきサイトとしてクックパッドを紹介しました。実はクックパッドを紹介したきっかけは、「600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス」という本を読んだのがきっかけでした。タイトルの600万というのは2008年3月時点での月間ユーザー数ですが、2010年現在ではすでに1000万人に迫ろうかという勢いだそうです。

日本人の30代女性、その4人に1人がユーザーとも言われている日本最大の料理サイトであるクックパッド。なぜ多くのユーザーを引きつけてやまないのか、その要諦が本書には惜しげもなく書かれています。

本書についての感想をちょくちょく見かけるのですが、その中には「Web屋は必ず見ておくべき」という指摘が多くあります。実際に自分も読んでみてそう感じました。

「全てはユーザーのため」に本気で取り組む

「全てはお客様のため」とはよく目にするキャッチコピーですが、これを謳う企業は本当にそれを実践できているのかどうか疑問に思うこともあります。が、少なくとも本書を読む限りでは、クックパッドはこのキャッチコピーを実践していることがうかがえます。何よりも結果として多くのユーザーを抱えていることが何よりの証拠と言えると思います。P・F・ドラッカーは企業の目的についてこう言っています。

企業とは何かを決めるのは顧客である。なぜなら顧客だけが、財やサービスに対する支払いの意思を持ち、経済資源を富に、モノを財貨に変えるからである。しかも顧客が価値を認め購入するものは、財やサービスそのものではない。財やサービスが提供するもの、すなわち効用である。

企業の目的は、顧客の創造である。

先日の研修の際に私が繰り返しお話したのは「全ては顧客(ユーザー)から始まる」ということでした。顧客を見ずに運営側による主観だけでものを行っても的外れになる可能性が高いわけで、常に顧客の声に耳を傾け改善を図っていく必要がどんな業種においても必要だと思います。

クックパッドの例で言えば、効用にあたる部分は「料理をする人の笑顔を増やすこと」にあたります。これは本書にも書いてあるクックパッドの行動指標の基部分でもあります。毎日の料理を作る主婦は、それが当たり前のことと家族に思わるが故になかなか感謝の言葉をもらえる機会がなく、寂しい思いをすることがあるそうです(どちらの立場からも心当たりがある方も多いのではないでしょうか?)。そんな消費者の心を満たしてくれるのがクックパッドのレシピ投稿であり、ユーザーを評価するシステムであり、そしてそれらすべてをバックエンドで支えるクックパッド運営者側の絶え間なき努力の賜物であると言えます。

自社開発の強み

Web業として特に関心を持ったのは、クックパッドのシステムが自社開発であるということでした。クックパッドではシステムを外注ではなく自社でWebフレームワークのRuby on Railsを使って構築しているそうです。システムが内製で賄えるというのは非常に強みです。

よくあるパターンとしてはビジネスを自社で担当し、システム部分の開発はシステム会社やWeb制作会社へ外注して構築する方法です。これの欠点としては

  • 自社と他社との意識のギャップ
  • 業務委託後のフォロー関係

等が挙げられると思います。自社でいかに志の高い目標を掲げようとも、それを外注先の会社と共有できなかったり、苦楽を共にさせるだけの条件を提示できない場合、双方の間に意識のギャップが生まれます。そうなった場合に外注先は十分なパフォーマンスを発揮できず(発揮しようとしない場合もあり得ます)、目的とする成果物への完成度も低くなる可能性があります。

また、外注でシステムを構築してもらう場合、システムが完成した後のフォローやメンテナンスの段階に入ることもあれば、外注の業務がここで終了する場合もあります。しかし構築したサイトとシステムはそれからも動き続けるわけで、運用を続けていく中で改善点が発生した場合には外注先の会社に再度依頼します。この際に予算や意識の面で自社が求めるパフォーマンスを外注側が満たせない、もしくは満たすに値する条件を自社が提示できない場合、改善が把握できているにもかかわらず何もできない、もしくは新たな外注先を探す手間と時間と費用が発生する場合が考えられます。

こういったことから、Webでのビジネスを行うために業務をアウトソーシングする場合には外部とのマネジメントが非常に重要になるわけですが、このリスクを自社で行うことによりある程度軽減することができると考えています。

私の仕事仲間の中でも、Web屋自身でネットビジネスを試みようという声をたまに耳にするようになりました。その理由としては外注として受ける仕事での、クライアントに対する不満であったりなどが多くを占めるようです。うまく連携すればお互いの強みを生かして良いサービスを生み出せると思うのですが、なかなか全てがうまくはいかないようです。

話はそれましたが、Weebビジネスやサービスなど多くの面で本書から学ぶことは非常に多いと簡単にまとめておきます。

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