コーチングの神様が教える「できるひと」の法則 マーシャル・ゴールドスミス著
本書を読むまで知らなかったのですが、著者はエグゼクティブコーチ(プロ中のプロ)の第一人者で、世界的大企業の経営者80人以上をコーチした方です。2004年に全米経営者協会から「過去80年間、マネジメント分野で最も影響を与えた50人の偉大な思想家・リーダー」に選ばれています。
コーチングのHow To本ではなく、著者が読者をコーチングするような内容です。現在地から目的地へ辿り着くために、とても分かりやすい文章がありました。おそらく、これが最短距離ではないかと思います。ピーター・F・ドラッカー財団の役員を10年務めた際に、ピーター・ドラッカーから聞いた話です。
とりわけ叡智にたけたコメントだと思ったのは「私たちはリーダーに何をすべきかを教えるのに多大な時間を使うが、何をやめるべきかを教えるのには充分な時間をかけていない。私が今まで出会ったリーダーの半数は、何をすべきか学ぶ必要はない。彼らが学ぶ必要のあるのは何をやめるか」という言葉だ。
ToDoリストの代わりにToStopリストを作ることで、今よりも時間を有効に使えて創造的な発想が生まれそうです。
例えば、悪習が身についている人が良い人に変わるために、やらなくてはならないことがたくさんあったとしても一度にできることはひとつが限界です。一番の近道は、「嫌な人であることをやめる」こと。
ポジティブになるためにやめることとして、次の3つが挙げられています。
- 批判しない
- 反論しない
- 言い訳しない
今からでも実践したいです。
そして、下記に挙げるのは「あなたをトップの座から遠ざける20の悪い癖」です。
ある癖があったから成功したのではなく、それがあったにも関わらず成功した場合には、成功した体験は自信・揺ぎ無い信念となり、ステップアップする際には大きな障害になってしまいます。残念なことに、大抵1つか2つは持っているそうです。
- 極度の負けず嫌い
- 何かひとこと付け加えようとする
- 善し悪しの判断をくだす
- 人を傷つける懐疑的コメントをする
- 「いや」「しかし」「でも」で文章を始める
- 自分がいかに賢いかを話す
- 腹を立てているときに話す
- 否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う
- 情報を教えない
- きちんと他人を認めない
- 他人の手柄を横どりする
- 言い訳をする
- 過去にしがみつく
- えこひいきする
- すまなかったという気持ちを表さない
- 人の話を聞かない
- 感謝の気持ちを表さない
- 八つ当たりする
- 責任回避する
- 「私はこうなんだ」と言いすぎる
4つ目のコメントに関しては、
- このコメントはあなたの顧客の役に立つか?
- このコメントはあなたの会社の役に立つか?
- このコメントはあなたが話している相手に役立つか?
- このコメントはあなたがコメントしている人に役立つか?
を考えてから発言すると良いそうです。これらの悪い癖は、無意識にうちに行っていることが多く、直すためにはまず気づく必要があります。よくないコメントをした時に、周囲の人に罰金を払うというやり方が手っ取り早いと紹介されていて、とてもユニークだなと思いました。
このほかにも、まだまだたくさんの「できる人の法則」が顧客の事例とともに紹介されています。自分と重なる部分も多く、ほかの人からはこんな風に映るんだなと考えると、まるで自分へのフィードバックのようです。万人に参考になる内容ではないかと思います。
コメント ( 2 )
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いっちーさんの想いが目に見えるようなレビューでした。私自身も気をつけたい注意点が何個かありました。ありがとう!
どうもありがとうございます。
4つのコメントの仕方について、常にそういう視点で考えることは、後々自分にとって大きな財産になっていくと思いました。本当に、とても良い本です。