日経ビジネス 2010.10.18
市前です。タイトルの雑誌のレビューです。
日経ビジネス 2010.10.18 p.50-54
グローバル化の研究
ロクシタン(仏自然派化粧品メーカー) 「南仏で世界を攻める」
本誌の中に、見覚えのある名前を発見しました。「ロクシタン」はフランスの化粧品ブランドで、日本法人ロクシタン・ジャポンは2010年4月現在で76店舗を運営しています。
少子高齢化やデフレの影響で縮小し続ける日本の化粧品市場で2ケタ成長を遂げていて「他の自然派化粧品ブランドと比べても、ロクシタンの成長ぶりは際立つ」とあります。
価格帯で見ると化粧水で3,000円台、シャンプー・リンスも2,000円台からで、2,000~5,000円がほとんどです。この中価格帯は、消費不振のあおりを受け、日本の化粧品市場で大手各社が最も苦戦しているカテゴリーだそうです。自然派化粧品が増えている中で、ロクシタンが人気の背景には「南仏」「自然由来の原料」という独特の質感に支えられたブランド力。ブランドを浸透させるために、日本航空など航空会社との提携したり、世界の超一流ホテルへ積極的に納入したりしています。他にも、それぞれの商品ブランドに独自の意味とストーリーを持たせていることも、買い手にとっては大きな魅力の一つです。
大手化粧品会社にとって、店頭での販売促進と広告宣伝はコストの大きな部分を占めますが、ロクシタンは商品の品質向上に投資を集中しています。有名女優やモデルを起用する派手な宣伝広告は好まず、その代りブランドイメージを左右する店舗立地には徹底的にこだわり、常に「一等地」です。2008年には世界で1000店目となる店舗を、東京・渋谷駅前にオープンしました。3フロアある店舗の来店数は1日平均200人、週末は300~400人、女性へのプレゼントを探している男性客も多いそうで、「ロクシタンの地域別売上では日本が最大」というのも納得できます。
ロクシタン会長兼CEOのガイガー氏が会長に就任した96年は、フランス国内ですら無名の存在でした。いきなりニューヨークへ出店した当時について、「想像以上にコストがかかったため、実に大きな賭けだった」と振り返っています。現在、多くの化粧品メーカーが現地の人の肌や色彩感覚に合った商品を開発する一方、ロクシタンの戦略はこの潮流と逆行しています。もし世界の消費者が「自然由来」という共通の価値観に収斂するとしたら、あえて地域別商品を作りだす必要はないからです。商品に対する絶対的な自信がうかがえます。
「日本の店舗を100店舗以上に増やしていき、既存店のてこ入れも図りたい」と考えているガイガー氏が、ロクシタンをどのように展開をさせていくのか、自然派化粧品を愛用する私としては今後も目が離せません。
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