盲ろう者、福島智さん講演会に行ってきました。

画像:福島智さん(左)

全盲ろう者(耳と目が不自由)で東京大学教授の福島智さん講演会が2010年5月15日(土)、青森市の県民福祉プラザで開催されたので行ってきました。

今回のイベントのことは青森県視覚障害者情報センターの方から情報をいただいて参加させていただきました。このブログやW3Aのサイトでも告知を流したんですが、それ経由で県外からもお申込みがあったと言われたので載せてよかったと思いました。

会場に着くと施設で一番大きなホールがすでにほぼ満員の状態。最終的には会場に入りきらず、施設の外でも講演の内容が見えるようにモニターが設置されていたそうです。

画像:ステージ上

上の写真、ステージの下付近で何かをされている方々がいらっしゃるのが分かると思いますが、視覚や聴覚など様々な障害を持たれた方も会場に来られているため、そういった方々のために画面を拡大できるソフトをインストールしたPCや、手話で内容を伝える準備などをされていました。

会場に入ってステージ付近にちょうど知り合いの先生がいたのでお声をかけたところ「ちょうどいいところに来た!そのPCのネットワーク接続の設定してあげて!」との仰せが(笑)早速PCに向かったのですが、そのPCは拡大鏡ソフトがインストールされていて、マウスの中心部付近を拡大して表示する設定になっていたので驚きました。いつもと違う環境なのでもちろん使いにくいのですが、思いがけずツールの体験ができて勉強になりました。

当日の来賓は青森県知事や青森市長をはじめ、県や市の議員さんや各団体の代表の方々などすごい顔ぶれでした。知事と市長の挨拶については東奥日報にも掲載されていました。

講演に先立ち、三村申吾知事が「講演会を通じて盲ろう者の存在が広く伝わってほしい」、青森市の鹿内博市長が「市内の盲ろう者の実態把握に努め、今後の対 応を検討したい」とあいさつした。

画像:サポート。手話通訳、講演内容をスクリーンに表示など

上でも紹介しましたが、様々な障害の方への配慮として、講演や司会の内容をリアルタイムにPCから入力してその内容をステージの背景やPCに表示するという配慮がされていました。

画像:福島智さん(左)と指点字通訳の方福島先生(上の写真左)の講演が始まる前から気になっていたのですが、福島先生の横にいらっしゃる方は指点字通訳者の方だそうです。先生の指の上に自分の指を置き、それを点字の6点に見立ててすごいスピードで指を押していくという通訳方法です。初めて見たんですがすごい。指点字通訳者の方もすごいですが、それを理解される福島先生もすごいです。後の交流会で通訳者の方にお話を聞いたのですが、やはり指点字を受ける側の方が負担が大きいと言われていました。

お話は最初に福島先生が爆笑問題の番組「爆笑問題のニッポンの教養」に出演された映像の抜粋から。終始明るい福島先生に驚く爆笑問題の様子が新鮮でした。番組内では爆笑問題の二人が盲ろう者の体験をする場面もあり、手探りで不安な様子も映っていました。

講演の内容について詳細は省きますが、期せずして冒頭から本当に面白かったです!会場からも笑いがたびたび起こっていましたし、福島先生のしゃべりが本当に上手くて面白くて。

そう、盲ろう者の方は耳が聞こえないので自分の声も聞こえないため普通はしゃべることが困難なのですが、福島先生は18歳の頃まで聞こえていたそうなのでその頃の記憶を頼りにしゃべっていらっしゃるそうです。

さとし わかるか福島先生は9歳で視力を失い、18歳の頃から徐々に聴力を失っていったそうで、その過程は「周りの世界と自分の世界が離れていってしまうイメージだった」とおっしゃっていました。その後母親とのやり取りの中から偶然指点字が生まれ、今に至っているそうです。福島先生のお母様がお書きになった「さとし わかるか」という書名のタイトルは、初めて指点字で福島先生にメッセージを伝えた言葉なんですね。

終盤に福島先生が伝えたことは以下のことなどです。

  • 盲ろうは痛みや苦しみはないが、すごく孤独な感じ。世界から消えてしまったイメージ。
  • コミュニケーションが生活を豊かにするのは分かっていると思うが、実際はもっと重要で水とか酸素とか食べ物と同じくらい大切。コミュニケーションがないと体は生きていても心が、魂が死ぬ。盲ろう者は魂の死の危険にさらされている。
  • 重度の身体障害者は生命の危険が目に見えて分かりやすいが、盲ろう者は見た目からその危険度が分かりにくい。盲ろう者はコミュニケーションに関する全身障害者。
  • 盲ろう者はすべての生活において通訳介助者が必要。それが周りの世界を感じられる唯一の方法。盲ろう者は通訳介助者がいて初めて力を発揮できる。

福島先生の話を聞いたり、ステージ付近で障害を持たれた方々に通訳をしている方たちの様子を見ているとそれは本当に手を取り合って助け合っていることそのもので、講演を聞いて泣いたことはなかったんですがああいう時は泣くまいと思うと涙が出てきてしまいますね。本当に良いお話が聞けた講演会でした。

後の交流会にも参加させていただいて、ろう者(耳が不自由)の方や手話ができる健常者の方のお話などを聞かせていただきました。たまたまなのかもしれませんが、岩手の団体に所属されているろう者の方めちゃめちゃ明るかったです。福島先生ともちょっとだけ通訳の方を介してお話させていただき、Webアクセシビリティに取り組んでいることを伝えたところ、「長く取り組めるように無理をせずがんばってください」と言っていただけました。

参加された各団体の方々は、青森にいるだろう250人(推定)の盲ろう者の方に対して、まずは見つけて(盲ろう者の方は家に閉じこもっているケースが多く実態を把握できない状態だそうです)ちゃんとケアできる体制と、青森にはまだ無い盲ろう者協会の設立に尽力していこうと言われていました。

今回の講演会に来たことでまた新しい知り合いもできました。今週は時間を見つけて盲学校へ見学に行ってこようと思っています。また自分なりにできることをできるようにやっていきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。