盲導犬の講習会に参加してきました

画像:盲導犬講習会の様子

WebA合宿の後、アクセシビリティな知り合いの中さんに誘っていただき、盲導犬の講習会に参加させていただきました。Webとは関係が薄いかもですが広くモノを知ることも参考になると思い行ってみました。終わってみれば参加してよかったなと。得るもの多き会になりました。

当日は盲導犬二頭に、日本盲導犬協会の方が三名。そして盲導犬の利用を考えられている患者さんが四名に、サポートや見学の方も多くいらっしゃいました。お話の内容を箇条書きにしてみます。

  • 身体障害者補助犬法で規定されているのは盲導犬・介助犬・聴導犬の三種があり、これらの犬を同伴しての店舗や施設への入場は基本的に断ってはならない。
  • 盲導犬に多い犬種は、ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバー。理由としては人懐っこい性格と、見た目も他人から見て敬遠されにくい柔らかい印象、そして大きな体躯のため(小さかったり足が短いと、踏ん張りがきかなかったり階段を登れない場合があるなど)。
  • 盲導犬の仕事は人の道歩きの案内における障害物の回避、信号待ち、(道中の)角の通知や自動ドアへの案内など。
  • 盲導犬はカーナビのように目的地を指定しておけば案内してくれるというわけではない。人が目的地までの道順を覚えておいて、盲導犬が教えてくれる信号や曲がり角などの情報を手がかりにして行動する。
  • 犬は信号の色は判別できない。その代わり、信号の所にある段差を認識して停止するよう訓練されている。曲がり角もおなじく停止する。
  • 基本的に盲導犬は利用者の左斜め前を歩く。前方に障害物があれば回避してくれる。
  • 犬の健康チェックは大切。体温調節が苦手なので暑い季節は熱中症などにもなる場合がある。
  • 無駄に吠えることはないよう訓練されているが、生き物なので驚いた時などに吠える場合もある。
  • 青森県内で現在、盲導犬は約五頭が活動している。
  • 盲導犬のほかに視覚障がい車が外で行動するための手段は、白杖(はくじょう)の使用か人に付き添ってもらうかなど。どれも一長一短がある。
  • 盲導犬の健康チェックは大切。特にブラッシング。お店や病院など人が多くいる場所に入る場合があるため、他の人が不快に思わないようにケアすることが大切。
  • 生き物なので当然排泄もする。ある程度我慢できるが、一日で5回ほど排泄があると想定して、出かける前はトイレを済ませてから外出したほうがよい。
  • 基本的には人が出かけたいと思ったその時に出かけられるのがメリット。人頼りだとその人の都合もあるのでタイミングよくいかない場合がある。
  • 盲導犬の申請は各市町村の障害福祉課か、盲導犬協会に申請を。
  • 盲導犬を実生活で利用できるようになるのに必要な期間は、早くて1年、長くて2年程度。以前よりも早くなってきている。
  • 盲導犬の利用は基本的に無償貸与。ただしケージ(檻)やドッグフードなどは実費。
  • 一月にかかる費用は平均7千〜1万円程度。主に食費や病院代など。
  • 一匹の盲導犬と一緒にいる期間は大体8年ほど。寿命は16,7歳。
  • 盲導犬を持てる資格は、1.身体障害者手帳を持っていること(等級は問わず)。2.年齢が18歳以上であること。全盲である必要はなく、弱視の方もOK。
  • 盲導犬を持つには最初に4週間入所して訓練を受ける必要がある。
  • 盲導犬を利用している途中で犬が変更になった場合は、2週間の研修を受ける。

実際に盲導犬を利用してみる内容もあり、利用を考えている方々は実際に街に繰り出して盲導犬を頼りに歩いてみたりなどされていました。

バリアフリーの複雑さ

盲導犬は信号の色は見えないため、信号の手前にある段差を認識して停止するそうです。しかし段差といえば車椅子や高齢の方などには不都合を感じる場所でもあり、同じバリアフリーとして考えた場合にこの矛盾はどうなんだろう?と疑問が湧きました。これについて盲導犬協会の方に聞いてみました。

協会の方もこの問題については認識しておられるそうで、日本はバリアフリーについての考えが極端になり過ぎる傾向があると言われていました。「段差がよくない」となれば道全てをまっ平らにしてしまうこともあるが、それでは盲導犬の利用者が逆に不便になる可能性もあるわけで難しいと。例えばアメリカでは歩道には車いすが一台ちょうど通れるスペースを設けつつ、段差もあるといったような配慮がされている場合があるそうです。

自分の視点からのみ物事を考えていると、必ずしも正しいことがすべてに当てはまるわけではないということが言えるのかもしれませんね。いつものWebとは違った分野から得たこの教訓は大きいです。勉強になりました。

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