「反転授業」とEラーニングブーム

市役所サイトをFacebookに移転運用したり、市立図書館をTSUTAYAと連携して運営するなど、何かと話題になる佐賀県武雄市が、今度は「反転授業」を導入するということで注目されています。以下朝日新聞の記事抜粋です。

家で動画見て予習、「反転授業」試行へ 佐賀・武雄市

佐賀県武雄市教育委員会は小中学生全員に1台ずつ配るタブレット端末で、「反転授業」に取り組む方針を決めた。子どもは授業の動画を入れた端末を持ち帰り、家で宿題として予習。実際の授業ではわからない点を教え合ったり、議論しながら応用問題を解いたりし、学力の定着を目指す。11月に小学校1校で試行し、順次広げる。

反転授業は、これまで学校の授業で教えてきた基礎的な内容を家で学び、家で取り組んでいた応用課題を学校で学ぶよう「反転」させる方法だ。米国で2000年代から急速に広がった。日本では教員個人が取り組んでいる例はあるが、自治体単位で導入するのは初めて。

武雄市は2010年度から、小学校2校の4~6年生に1人1台ずつiPadを貸与し、授業で使っている。来年4月には小学生全員、15年春には中学生全員にタブレット端末を配る予定で、計約4200台を貸与する。機種は決まっていない。

個人的にも今回の反転授業導入は注目しているのですが、その理由は今世界規模で広がりを見せているEラーニングブームにあります。MOOCs(ムークス)と呼ばれる大規模公開オンライン講座のシステムが世界中の大学で導入されつつあり、一流大学の授業がインターネットで、しかも無料で受講できるという画期的な取り組みが広がっています。

反転授業については、オンライン学習システムのカーン・アカデミーを立ち上げたサルマン・カーンもその有効性に触れています。子供たちが学習する上での効率化をオンライン学習がサポートしてくれるというもので、著書「世界はひとつの教室」で詳しく紹介していますが、読んでなるほどと思わされました。日本人の取り組みとしては税所篤快さんが著書「「最高の授業」を、 世界の果てまで届けよう」で紹介しているようなグローバルな活動もあります。

サルマン・カーンと税所さんの活動で共通することとしては、今回の反転授業のような取り組みについて一定の効果が出ているということです。一見すると「先生に対面で学習しないような手法で成績が上がるのか」という疑問が湧くかもしれませんが、二人のEラーニングシステムでは確かに成績の向上が見られるという事実があり、これからの教育についてひょっとしたら大きな転機になっていく可能性があるかもしれません。

職業人講話でも最近この話題には触れているのですが、ことMOOCsのような取り組みが広がっていくことで、途上国の貧しい子供でも学習の機会を得ることができます。グローバル化で世界がつながっていく中、それまで競合でなかった人々との競争が始まっていくのかもしれません。

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