障害者向けiPad講習の講座が朝日新聞に取り上げられました

2013年10月14日 「視覚・聴覚障害者向けiPad講習の人材育成講座」掲載記事 朝日新聞

現在開講中の「視覚・聴覚障害者向けiPad講習の人材育成講座」が、2013年10月14日付け朝日新聞朝刊の地方面(23頁)で紹介されました。以下記事文面です。

iPadの音声読み上げ・文字拡大 障害者向け機能講座 NPOが指導者育成

タブレット端末「iPad」には、音声の読み上げ機能や文字を拡大して見られる機能がある。弱視や耳の不自由な人に役立ててもらおうと、NPO法人「あおもりIT活用サポートせtンター」は今秋、障害者に使い方を伝える健常者の育成講座を青森市で始めた。

「小さくても、いろんなことができるんだ」「文字を大きくできて、老眼の目にも優しい」。健常者の受講生たちは指先で画面をスライドさせながら、画面の動きを追う。

講座は全7回。基本操作から始まり、音声の読み上げ機能やアプリの使い方のほか、スカイプを使い手話で会話をする方法も習う。4回目以降は障害者に指導する。

10~11月の1期目には、障害者支援に興味がある男女7人が受講。青森市の主婦、白崎由美子さんは「使いこなせるようになって弱い立場の人々を支えたい」と話す。

講師はホームページの作成などを手掛ける鶴田町のウェブデザイナー、高森三樹さん(34)。これまでは障害者に直接教え、情報を得やすくなったと好評を得てきた。「もっと多くの障害者に使い方を知らせるには、教える人材の育成が必要」。取り組みが県に評価され、費用を負担してもらえることになった。受講生の負担はない。

モバイル端末に詳しい青森公立大の木暮祐一准教授は「育成講座は全国でも珍しい」と話す。2期目は11月7日からで、受講生を受け付け中。問い合わせは高森さん(090・9742・6430)へ。(仲田一平)

記事について補足をさせていただくと、今回の育成講座を企画立案したのは私というよりも、青森県の企画政策部情報システム課の方々です。昨年から私がボランティアで行っていた障害者さん向けiPad講習を何度も見学に来て頂く中で、情報の広がりに限界があることを客観的に見て頂き、今回の事業のコンセプトを立案いただきました。

また、この講座を受講中は受講生の方々にiPadをお貸ししています。長期間の間iPadを無償で貸すという仕組みは意外に難しい面もあったのですが、お陰さまでその分の予算を確保していただくことができました。

もう一つ、障害者の方がiPad講習を受けて情報を得やすくなったという箇所については、受講された全ての方が同意見ということではなく、そういう声もあるという意味合いで解釈して頂ければと思います。受講された方の中には、パソコンなどと違って凹凸のないフラットなタブレット端末が「やはり使いにくい」と感じられる方もいらっしゃいますし、講習会後に即iPadを購入して使っているという方は多くはない(むしろごく僅かにいるかどうか)と思います。

私が開催している障害者向けiPad講習は一回につき1時間半~2時間程度です。全盲の方は特に聴力を使って集中する必要があるので、長時間の講習は難しいため、講習会の中でお伝えできることは数あるiPadのアクセシビリティ機能のうちのごく一部です。その内容だけで障害者の方がiPadを購入して一人で使い始めるというのはかなりハードだと思います。

そう考えると、これまでは単発の講習会でしたが、今行っている健常者向け講習会のように、複数回のカリキュラムを立ててじっくり学んでもらうという機会を設けても良いかなと思いました。

まだこの講習会自体が12月まで続きますし、他にも色々考えていることがあるので一気に全部は難しいかもしれませんが、少しずつできることを増やしていければと思っています。

 

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  • コメント ( 2 )

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  1. イシ・ジュン

    こんにちは。
    私は、去年の5月に、iPadを体験した全盲の者です。

    人材育成講座、ご苦労様です。
    水を差すようですが一言。

    外付けキーボードは使えるようですが、
    タッチスクリーン操作が基本であり、
    正直、全盲者には使えない端末だと思っています。
    私としては、iPadよりも、キー操作が確実に保障されている、
    従来型のパソコンを教えられる人材こそ、
    青森県内には必要では、と感じます。
    それも、晴眼者でも、タッチタイピングができる程度までに。

    では、失礼します。

  2. admin

    イシ・ジュンさん

    ご無沙汰しております。コメントありがとうございます。
    凹凸のない端末は特に全盲の方には使いづらいと感じることと思います。外付けキーボードを接続すれば操作や文字入力は快適になりますが、それだとパソコンを使うのと大差がなくなってきますね。

    ただ、iPadなど新しい端末には従来のパソコンには無い機能が新しく追加されてきていて、その中には視覚・聴覚障害者だけでなく四肢に障害のある方にも有効に使えるようなものが出てきています。

    例えば声で発した音声を文字データに変換してくれる機能の精度はかなり良くなってきているので、キーボードを使わずに言葉でメールや文章を打って送信することも、慣れ次第では十分可能です。漢字の詳細読みもできるようになりました。

    また、最近新しく追加された機能では頭の動きだけでiPadの操作を行うことができたり、指一本で同じく操作を行えるような機能もあります。

    アクセシビリティ機能だけでなく、一般的なアプリもモノによっては障害者の方が便利に使えるようになってきました。写真で撮影したものをアプリが調べて音声で教えてくれるようなものもありますし、青空文庫はもちろん、一般的な電子書籍も文字を拡大しつつ音声で読み上げが簡単な操作でできるものも出てきました。

    パソコンの場合メインの操作はキーボードで行う場合が多いと思いますが、iPadの場合は必ずしもキーボードだけではなく、障害に合わせた様々な使い方で操作できる可能性があります。どこまでその可能性が広がるかは未知数ですが、個人的には楽しみにしつつ、良い機能があれば色々試していきたいと思っています。