「わが指のオーケストラ」

わが指のオーケストラ 第1巻、第2巻、第3巻

知人の方からお借りしていた本をやっと読むことができました。「わが指のオーケストラ」全3巻です。

時は大正から昭和初期頃の日本。ろうあ者教育をテーマにした漫画です。

主人公は音楽の道を諦めた青年が、ろうあの子供たちと教育の現場で奮闘する物語です。

ろうあや聴覚障害のある人たちへの教育については、昔は手話ではなく強制的に言葉を話させる口話教育が主だった時期があります。

それは聾唖者にとっての暗い時代として、以前に関係者から聞いていたことがありました。

とは言え、なぜ手話教育から口話教育へ主軸が移ったのか、何がきっかけでそこまで手話教育が駆逐されかけたのかについては詳しく知りませんでした。

本書を通して、ろうあ者にとっていかに手話が欠かせないもので、どれだけ尊いものか実感できたような気がします。

また、場合によってはろう者教育にとっての闇とも言える口話教育が、なぜ一時期主流になっていたのか、創始者の思いはどんなものだったのかなども、とてもフラットな視点で見ることができました。

本書を読んでいると、手話教育も口話教育も、それぞれにろうあ者への思いやりが原点だったというのが分かります。

ただ口話教育はこれを至上主義として、手話教育を排除するという点が大きな問題だったとありました。

一方で手話教育推進派の主人公は、口話教育の意義を認めつつも、口話ができるろうあ者を育てることが困難なことや、口話を重視するあまりに軽んじられる可能性のある情操教育への欠如など、口話教育が抱える多くの問題点を指摘しながら、聾唖者の寄る辺となっている手話を残そうと最後まで戦っていました。

上の部分を読んで分不相応とは思いながら、主人公の考えは自分と重なる部分があるとも感じました。

自分は障害のある方でiPadの使い方を教えたり、教えられる人材を育成する講座をやってきていますが、いつも「iPadやiPhoneを必ず使うように」とは言わないようにしています。

人にはそれぞれ障害や事情、考え方があり、人それぞれが求めるものは違うと思っています。その人にiPadやiPhoneが合えば使えばいいと思いますが、無理をして使うのは目的と手段が入れ違いになることもあるので、お勧めしていません。

でも、iPhoneやiPadにそなわっている機能や使い方を知ることで選択肢が増えるのは良いことだと思いますし、知っていて損はないことだとも確信しているので、それらを伝えるために自分はそうした活動をしています。

本書の主人公として、ろうあ教育について学べたことや、障害者支援についての考え方を重ねられた事は本当に有意義でした。貸してくれた阿部さん、ホントにありがとうございました。

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