水道法の改正案が可決の件、堤未果さんの著書を読むとかなり笑えない話

参院厚生労働委員会は4日、市町村などが手掛ける水道事業を広域化する水道法改正案を自民、公明両党などの賛成多数で可決した。

上の一文は今日の日経朝刊からです。

水道法については少し前まで全く関心はなかったのですが、1冊の本を読んでから気になっていて、今回の報道で改めて注目しました。

読んだのは堤未果さんの「日本が売られる」です。

本書の帯文には「日本は出血大セール中」の言葉。

日本が持っている水や土地や海や種子、労働、学校、医療、老後、個人情報など、様々な資産が外国に売られつつある現状が書かれています。

水道法については本書の一番目に取り上げられています。

メモがてら要点だけをざっくり書き出してみます。

  • 20世紀は石油を奪い合う戦争だった。21世紀は水をめぐる戦争になるだろう
  • 公営から企業運営になった途端、水は「値札のついた商品」になる
  • 「採算度外視でも国民に安全な水を供給する」ことを目的とする公営水道と違い、運営権を手に入れた民間企業がまず最初にやる事は、料金の改定
  • 飲み水がただの時代は終わった。そしてこれはまだまだ序の口
  • 世界水会議が開催する「世界水フォーラム」では、グローバル企業がいかに世界に水ビジネス市場を広げていくかを話し合っている
  • またそこでは、水道ビジネスにかかったコストは、すべてその地域の消費者から回収すべきだとする「フルコストプライシング」という新ビジョンが打ち出された
  • 海外の大手水企業は、日本の水道ビジネスを買い漁ろうと、様々な伏線を敷きつつある
  • ネスレ社が行った調査によると「2025年までに地球の3分の1の人々が新鮮な水にアクセスできなくなり、2050年までには、地球が壊滅的な水不足に陥る」
  • 世界37カ国235都市が、いちど民営化した水道事業再び公営に戻している
  • その主な理由は、水道料金の高騰、財政の透明性欠如、公営が民間企業を監督する難しさ、劣悪な運営、過度な人員削減によるサービス低下などがある
  • 海外では企業に打った水道事業の株式を全部買い戻すためにかかった莫大な費用が、すべて税金として市民の方にのしかかった
  • 世界の流れと逆行し、今になって水道民営化を高らかに叫び出した国が日本
  • 小泉政権家で当時の経済産業大臣だった竹中平蔵氏の主導により、すでに業務の大半を民間に委託できるよう法律が変えられている
  • 日本の水道事業を買おうとしている外国人投資家たちの懸念は、災害の多い日本では、老朽化水道管等の保全や普及に莫大な費用がかかる点。これをビジネス上のリスクと捉えている
  • 電力と水道の違いは、水道の場合は1つの地域につき1社独占になること。つまり水道というインフラには利用者を惹きつけるためにサービスの質や価格の安さで勝負するなどの競争が存在しない
  • 日本の水道は電気と同じく「原価総括方式」。これは水道設備の更新費用だけでなく、株主や役員への報酬、法人税や内部留保なども全て「水道料金」に上乗せできる。人口が年々減っているのに、今もダム建設が止まらず水道料金が上がり続けるのはこのため
  • 日本の水道運営権は、巨額の手数料が動く優良投資商品になるだろう
  • 何よりも素晴らしいのは、災害時に水道管が壊れた場合の修復も、国民への水の安定供給も、どちらも運営する企業でなく、自治体に責任を負うことになったこと
  • 電気やガスは「電気事業法」「ガス事業法」という法律のおかげで、ガスや電気の安定供給の責任はしっかり事業者に課せられている
  • だが水道だけは「水道事業法」が存在しない。これにより企業は自然災害大国日本で、リスクを負わず、自社の利益だけを追求すればいい

「日本が売られる」では水の問題以外にも、様々な日本の資産が海外に買い叩かれようとしている現状に警鐘を鳴らしています。

読んでいてかなり凹むのですが、こうした身近な話題は政治とかなり近いところにあるのだと感じさせられます。政治には疎いのですが、気を向けてみるべきだとも思わされます。

ただし水道法関係について自分が見聞きしたのは本書に書かれていることくらいなので、違った意見などもあれば教えていただきたいと思ってます。

「水道法の改正案が可決の件、堤未果さんの著書を読むとかなり笑えない話」への2件のフィードバック

  1. 水に限らず、土地(陸地・海域)森林等々。ナショナリズム興隆の世相に怯え危惧する。
    経済効果の追求。小さな政府・小さな自治体を目指し、広益を主とする政治哲学においては水道事業の民間委託も是とするか。
    しかし、そこの主体はあくまでも人間。智慧とモラル、多様性の社会をコントロール出来うる人材、諸団体の育成も不可欠。
    座して論ずるは易しいが、以前その関係にあった小生は五現主義に徹して監視の目を光らしたい。

  2. Morisakiさん、コメントありがとうございました。
    政治にはなかなか時間を割いて関心を寄せることが少ないですが、今回は読んだ本に関係した話題だったので、メモを兼ねて書いてみました。

    おっしゃる通り水に限らず様々な分野で議論を深めるべきことがたくさんあるように思います。

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