コロナ接触確認アプリ「COCOA」がWebアクセシビリティのレベルAAAを目標に?
財経新聞によると、新型コロナウイルス陽性登録した人との接触を確認できるアプリ「COCOA」が、WebアクセシビリティにおけるJIS規格「JIS X 8341-3:2016」の等級AAAを目指すとのこと。ですがちょっと気になる点が。
以下は財経新聞の記事から引用です。
厚生労働省は9月8日、接触確認アプリ「COCOA」のアップデート版に当たる「1.2.6」の配布を開始した。今回のアップデートでは、通信環境などの影響により、陽性者登録情報のダウンロードエラーが生じた場合、ダウンロードのリトライを行うアプリ側の内部処理を変更したほか、ウェブアクセシビリティ方針を策定したとしている(厚生労働省)。
また厚生労働省は高齢者や障害者にも使いやすいように、COCOAをWebアクセシビリティーについて定めたJIS規格「JIS X 8341-3:2016」に準拠させ、レベルAAAにまで引き上げていく方針。2022年3月までに「見出しやラベルを付ける」「音声解説を提供する」など38項目の機能追加を目標として上げている。今回の「1.2.6」アップデートではこれに先行して陽性者と接触の可能性があった場合の通知の表示方法を修正したとしている(ITmedia)。
COCOA 1.2.6公開、21年度末までにウェブアクセシビリティのレベルAAA目指す | 財経新聞
上の記事の末尾に「ITmedia」とありリンクも張られていたのでITmediaの記事も見てみました。以下はITmediaの記事から引用です。
厚生労働省は9月8日、新型コロナウイルス感染症の接触確認アプリ「COCOA」(iOS/Android)を高齢者や障害者にも使いやすいようにする方針を発表した。2022年3月までに、「見出しやラベルを付ける」「音声解説を提供する」など38項目を満たすことを目指す。
対応を目指すのは、Webコンテンツの配慮設計(Webアクセシビリティー)について定めたJIS規格「JIS X 8341-3:2016」。全部で61項目の達成基準がある。
「タイトルを付ける」「情報を意味ある順序にする」など25項目の基準を達成するとレベルA、「見出しやラベルを付ける」「音声解説を提供する」など13項目を満たすとレベルAA、「手話の用意」など23項目満たせばレベルAAAになる。総務省は公的機関のサイトなどでレベルAAへの対応を推奨しており、COCOAでもレベルAAを目指すとしている。
接触確認アプリ「COCOA」、高齢者・障害者にも使いやすく 22年3月までの達成目指す – ITmedia NEWS
気になった点は、財経新聞の記事とITmediaの記事とでは、COCOAがめざすWebアクセシビリティ等級のレベルが違うことです。
財経新聞は「COCOAは等級AAAをめざす」としていますが、ITmediaでは「COCOAは等級AAをめざす」としています。Aひとつの違いですが、実際はかなり大きな違いがあります。
JISで定められたWebアクセシビリティ準拠の等級レベルは、A・AA・AAAの3段階があります。Aの数が多いほど等級(対応度)が多くなります。自治体サイトの多くではWebアクセシビリティにどこまで準拠しているかの試験を行い、その試験結果を公表している場合が多くあります。ここでもどのレベルに準拠したかを明記しますし、対応がまだの場合はどの等級をめざすのかを明記します。
「等級が高いほどWebアクセシビリティ的にいいんでしょ?」と思われるかもしれませんが、実はAAAはその厳密さゆえにウェブアクセシビリティ基盤委員会からも「推奨しない」とされており、多くの地方自治体サイトでもAA準拠が大多数です。
「わざわざ等級AAAをめざすとCOCOAが宣言するのは、単に見栄を張っているだけなのかどうなのか」という疑問がわきます。こういう場合は大元の情報を確認するのが手っ取り早い。
そこでCOCOAのアプリからウェブアクセシビリティ方針をチェックしてみました。以下はそのスクリーンショットです。
上のスクリーンショットには「等級AA準拠」とあり、AAAに関する記述はみられませんでした。
また今回のCOCOAバージョン1.2.6に関する厚生労働省からのお知らせにも、AAAに関する記述はみられませんでした。
接触確認アプリ「COCOA」の修正版(「1.2.6」)の配布を開始しました|厚生労働省
他の情報も洗ってみましたが、COCOAが等級AAAをめざすという記述は見つけられず。結論としては財経新聞の記載に誤りがあるのではという見立てですが、もしこのあたり詳しい方がいたら教えていただければと思います。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。