Mac People (マックピープル)2010年12月号

Mac People (マックピープル) 2010年 12月号 [雑誌]レビュープラスさんからいただいた「Mac People (マックピープル) 2010年12月号」のレビューです。ちなみに本誌は創刊15周年だそうです。おめでとうございます。

Mac Peopleはこのブログでもたびたびレビューを書かせてもらっていますが、その名の通りMacの開発元であるアップルの話題を専門に取り上げる月刊誌です。そのためアップルのCEO、スティーブ・ジョブズが表紙を飾ることもたびたびです。

PC系の雑誌では時に内容がマンネリ化して、お勧めソフトやQ&Aなどしばらく似たような話題が続く場合もありますが、Mac People今号では新鮮で刺激的な最新情報が多く取り上げられており、とても魅力的な号です。今回はその中でも特に目を引いた特集の内容をメインに書きたいと思います。

目次

Mac OS X Lion / MacBook Air / iLife’11など最新情報満載

Mac OS X Lion

本特集ではMacの次のOSである「Mac OS X Lion」や先日発表された新型の「MacBook Air」、一般ユーザー向けのソフトウェアパッケージ「iLife’11」など最新の話題が紹介されています。

Windowsユーザーでなければピンとこないかもしれませんが、Macの次世代OSである「Mac OS X Lion」について一部の情報が先行発表されたことが最初に特集として紹介されています。Windowsで言うところの「Windows 7」の次が紹介されたようなものですね。

「Mac OS X Lion」の名にあるLionは百獣の王ライオンを示しており、これまでOS Xのアップグレードに合わせて「Cheetah(チーター)」「Jaguar(ジャガー)」「Tiger(タイガー)」「Leopard(レパード)」などといった、ネコ科の大型動物の名が付けられたアップグレードにおいて遂に百獣の王ライオンの名を冠するものが発表されたことも注目されています。この次にどういった名前が付けられるのかはまた数年先の話になりそうですが気になるところです。

本誌を読んで特に興味を持ったのがアップルのユーザーインターフェイス(UI)における取り組みです。

ユーザーインターフェイスの更なる追求

Apple iMac 27インチ 3.20GHz 1TB MC510J/AMacにおけるユーザーインターフェイス(UI)の秀逸さは広く知られるところであり、それはすでに現在のOS X Snow Leopardで完成の域を見ているとも言われています。私の知り合いで50~60代のMacユーザーがいるのですが、その方が先日Windowsを使った際、「こんな使いにくいパソコンをよく皆使ってるな」と半ば呆れ気味に話されていたことがありました。

つまりはそれだけ今までのMacにおけるUIが優れているというユーザーの声なのですが、しかし次のOS LionにおいてはそのUI周りについても改良がくわえられるようです。

その要因の一つは27インチにもなるiMacなど、モニターの大画面化によるUIへの変化だと本誌は指摘しています。確かにそれまで使っていたPCのモニターを大きなものに変えた際、マウスを動かす距離が大きくなったりそれまでの視野では捉えきれない画面の広さに戸惑って「なんだか使いにくい」と感じることがあります。Mac OS X Lionではこのギャップに対して様々な施策で答えようとしています。

例えばフルスクリーンでの画面表示やiPhone・iPadで採用されているアイコン型表示の「Launchpad」など、これまでのPCで主流で無かった方法やiPhone・iPadの開発で培った技術を取り入れるなど積極的な試みがなされています。

これについて(というより本誌の特集全般について)非常によくまとめられているのが本誌106~107ページのコラム「柴田文彦のマック時事放言 見えてきたMac OSの頂上」です。この中に以下の一節があります。

マックとiOSデバイスの境界が曖昧になってきたことを感じざるを得ないだろう。

現在でも、例えばiPhoneとMac Proの間にはかなり大きな距離の隔たりがあり、その用途も使われ方も異なっている。しかし両者の間には多くのハードウェアがあり、それらがシームレスに繋がっていくのは当然の流れなのかもしれない。

MacだけでなくiPhoneやiPadを使ったことがなければ上記の一節についてなかなかピンとこないかもしれませんが、両方を使っている一ユーザーとしてはなんとなく納得できるような気がします。

Macのユーザーインターフェイスは素晴らしいですがそれに負けず劣らずiPhoneやiPadのそれも非常に優れていると感じます。他社のスマートフォンを触ってみたりすることもあるのですが、動作のもっさり感やボタンの多さなどインターフェイスとして直感的に使えないものが多かった印象があるので、その度にiPhone・iPadの操作性の素晴らしさを実感していました。

ユーザビリティ・イノベーション

上で紹介してきたようにアップルのユーザーインターフェイスに対する配慮、つまりユーザビリティへの追及は止まるところを知りません。Mac OS Xの生みの親であり、ユーザーインターフェイスを開発したスコット・フォーストール(後にiOSプラットフォームの開発を担当)は元より、アップルのデザインチームを束ねるジョナサン・アイブは「ユーザーが見ていないような細部に気を配ることが好き」という発言をしています。

ユーザビリティといった「目に見えないもの」はストレスなく体験している際には意識しないものですが、わずかでも不便を感じるとさも全てがダメかのような印象を持ってしまうことすらあります。ここに作り手と受け手との間にギャップが生じているわけです。

上のスコットやジョナサンといったプロフェッショナルが集うアップルだからこそ、時とともに変化するユーザビリティーの変化やユーザが抱えるギャップを認識し、より洗練されたユーザビリティのためのイノベーションを生み出していくことができるのだと思います。

ドラッカー入門―万人のための帝王学を求めて「ギャップ」は、ピーター・ドラッカーが言うところの「イノベーションの7つの機会」のうちの一つにあたります。このうち「ギャップ」は「予期せぬ成功・失敗」に続いてイノベーションの成功確率が高いと言われる要素です。

ちなみに上のジョナサンの発言はピーター・ドラッカーの「神々が見ている」の一節とも重なる部分であり、個人的に深く感銘している言葉でもあります。

Windowsユーザーにも参考になる内容

冒頭で紹介したように本誌はアップルの専門誌ですが、WindowsユーザーやMacユーザーでない方にも参考になる情報が多く掲載されています。

例えば38ページからの「そうだったのか!Office 2011」はMac用Officeソフトの特集で、Windowsとの互換性やword,excel,powerpointなど、Windowsユーザーにもなじみのあるソフトの紹介があります。その他個人的にはauのスマートフォン「IS03」の記事が特に興味深いなど、期せずしてMac以外の話題にも触れることができました。

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