ラジオアプリのアクセシビリティ対応でチャンスとなるか損失となるか分かれる例
要点
- radiko.jpはVoiceOverで操作できるが、ドコデモFMは操作できない。
- radiko.jpは有料プランを利用しているユーザーも多い。
- 操作できないユーザーがいること(アクセシビリティ対応が不十分であること)による損失が発生している。
全盲の知り合いで、去年iPad miniを購入してVoiceOver(音声読み上げ機能)で色々なアプリを使われている方がいらっしゃるのですが、その方からとある相談がありました。
相談の内容は、ラジオアプリの「radiko.jp」はVoiceOverで操作でき放送も聞けるけど、別のラジオアプリの「ドコデモFM」では操作ができないのでちょっと見て欲しいというものでした。
ちなみに私のざっくりした印象では、radiko.jpは主に全国のラジオのAM局を、ドコデモFMでは同じくFM局を聞けるという認識です。
radiko.jpは住んでいる地域のラジオ局は無料で聞け、有料サービスに申し込むと全国のラジオを聞くことができます。一方でドコデモFMは、初回起動時から31日間は無料で、以降は有料となるプランのようです(2016年2月4日現在)。
radiko.jpは以前にもVoiceOverで操作できるか試したことがあり、基本的には選局や再生・停止などを行うことができるのは知っていました。
一方でドコデモFMをVoiceOverで操作できるかは、以前にも試みたことがあると思うのですが忘れてしまったので今回改めてやってみました。
結論からいうと、現時点ではドコデモFMをVoiceOverを使って操作することは難しいようでした。
問題なのはラジオを切り替えるボタンが、通常時には問題なく操作できるものの、VoiceOverを起動すると、画面には表示されていてもそのボタンに選択を合わせることができないという状態でした。
これはVoiceOverの問題というよりはアプリの作りに問題があるかなと思うので、アプリの開発元に改善をお願いしたいと思っています。
アクセシビリティへの対応が、チャンスとなるか損失となるかに関わる実例
今回実感したのは、同じジャンルのアプリでもアクセシビリティへの対応度はバラバラで、しかもその対応の違いによっては利益に繋がるユーザーを増やすケースと、失ってしまうケースが垣間見られたことです。
一見すると画面の内容を音声で読み上げてくれそうなアプリでも、実際はあまり読み上げてくれないというアプリはたくさんありますしその逆もまた然りです。
アプリには様々な課金方法が導入されていますが、目が見える、耳が聞こえるという立場から考えていると、ついアクセシビリティがおざなりになってしまう場合があります。
しかし今回のように、同じような機能で同じような課金システムが用意されている二つのアプリが、片方はアクセシビリティに対応していることでユーザーを獲得し、片方は対応していないことでユーザーを失っているという現実をみるに、アクセシビリティは多くの開発者が思っている以上に大切な要素だと考えられるのではないでしょうか。
ちなみに後日談。上の結果を全盲の知り合いに報告…する前に先方でもネットで調べてみたようで、やはりドコデモFMはVoiceOver使用時には操作できないという結果だったようです。
その代わりとして、KDDIからリリースされている「LISMO WAVE」というサービスがあるようなのでそちらを試してみるとのことでした(他のラジオアプリより月間の利用料が少し高めなのが気になっていらしたようですが)。
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