心理学の応用とダークパターンとのバランス

ダークパターン:消費者を不利な決定に誘導するWebサイトの表記やデザインのこと(日経新聞より)。

たとえば商品の購入ボタン。「購入する」ボタンより「定期購入する」ボタンなど、企業にとって都合がいい選択肢をクリックしてもらうように、ボタンの色を変えたりサイズを大きくしたりする。

また期間限定セールについて、偽りの残り時間を掲載し購入を急がせる。こうした消費者の不利益につながるような見せ方はダークパターンに当てはまります。

ダークパターンという言葉は約10年前に英国のハリー・ブリグナル氏が命名したそうで、そんなに以前からあるとは最近まで知りませんでした。

ダークパターンの多くは人間の認知バイアスを悪用したもの。多くの人が良いと思うものを良いと判断する「バンドワゴン効果」や、希少なものに多くの価値をおく「希少性バイアス」、コストを投じた選択にこだわり続けてしまう「埋没費用の誤謬」など、心理学に関係したものが多くあります。

京都大学の鹿島久嗣さんによると、ダークパターン手法の典型例として以下の7つの典型的なパターンがあるそうです。

  • コッソリ型
  • 急かし型
  • 誘導型
  • みんなやってるよ型
  • 希少性煽り型
  • 妨害型
  • 強制型

心理学はここ最近とくに注目が集まっている分野だと感じます。ビジネス系でも認知心理学や行動経済学などを扱う書籍が増えていますし、ECなどネットやオンラインの重要性が高まっていることから、いかに消費者の心理を理解し活かすかが重要視されています。

心理学自体に良い悪いはないとして、世界ではダークパターンの規制を強化する動きが出ているようです。アメリカカリフォルニア州では消費者プライバシー法(CCPA)を見直し、一部のダークパターンが新たに禁止されたそうです。

日本でも今年、特定商取引法が改正となり、誤って定期購入に誘導するようなわかりにくい表示は刑事罰の直接の対象となったようです。

ダークパターンかそうでないかの線引きは難しい部分があるものの、今は比較的当たり前と思われているウェブコンテンツが、将来法律に抵触するようなものとして判断されるようになることが出てくるかもしれません。

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