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炎上本で考えさせられる書籍への信頼性

Web3が界隈で話題になるなか、別の意味で話題になったのがWeb3について解説した本の炎上。

ことは今月発売になった「いちばんやさしいWeb3の教本」という書籍がきっかけ。Web3関係の書籍は少しずつ増えてきているものの、基本を分かりやすく抑えていそうなものは多くなく。そんななかインプレス社が発行する「いちばんやさしい」シリーズにWeb3をテーマにした書籍が登場するということで、予約して発売日には手元に届きました。

いちばんやさしいWeb3の教本

ところが本書の中で記載されている内容の「あちらこちらがおかしい」とSNSで話題になり炎上。インプレス社が著者や有識者と協議したところ、販売継続は難しいと判断され本書の販売は終了することになったそうです。

書籍「いちばんやさしいWeb3の教本 人気講師が教えるNFT、DAO、DeFiが織りなす新世界」の回収について – インプレスブックス

奇しくもキャンペーンとして無料公開されていた第1・第2章内の記述で不明な点が多く指摘されたとのこと。たしかに読んでみるとSNSでも指摘されている通り、Web1.0や2.0についての年代ズレや、OSとしてのEthereumなど、いろいろと気になる点は散見されます。

問題点としてはやはり校正の段階で編集部や第三者による適切なチェックが機能しなかったことだと思います。しかしより大きな問題として、それをやってしまったのが技術系書籍でそれなりに名の通ったインプレス社だったということ。

本書は純粋な技術書というわけではなくWeb3やそれに関連するキーワードの解説本的な位置づけですが、そもこうした書籍を購入する人は「それらに関しての知識がないので買う」人が多くを占めます。つまり購入した人の中にはその本に書いてあることが正しかろうか間違っていようが分からないというケースが多いと考えられます。

前述のように無料キャンペーンで公開された一部分について、多くの人の目で間違いを指摘されたことで本書に書いてあることに「間違いがあるようだ」と知れる人がいる一方、それに気づかず間違った知識として吸収してしまう読者もいると思います。

そうしたことは本来(どの分野でもそうでしょうが)こうした技術関係の本ではあってはいけないわけで、そのために編集部があるわけで。

書籍への信頼性が揺らぐ懸念

「ネットの情報は誰が書いたかわからないから信用できない」「多くの人の手がかかって作られるものだからこそ信頼できる『本』という情報リソース」という、本来書籍がもっているはずの魅力が説得力を失ってしまう可能性が出てきます。だからこそインプレス社も素早い対応と決断で本書の販売を断念したと言えます。

個人的には本書を予約して購入したこと自体に後悔しているわけではなかったりもします。すべて読んだわけではありませんが、著者が本文としているWeb3関係の記述には信頼できるものもあるとは思います。ただやはり本書自体への信頼が揺らいだ今となっては、改めてページに目を通す気にはなれず、他の書籍を買って読もうという考えではいます。

すべての書籍が役に立つわけでも真実が述べられているわけでもない。それを改めて考えさせられたことと、これを教訓にインプレスさんにはこれからも良本を刊行していてほしいと思う次第です。

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