仕事に関係ない本を読む意義とメリット
仕事であるWebとは全然関係のない本を読むことがありますというか、最近はむしろ無関係ジャンルの本を読む方が多いです。
もちろんWebを仕事の領域にしている以上、Webの話題やトレンドは日々チェックしていますし書籍でもWebに関連したものを読むこともあります。でも、仕事に全く関係ないと思って読んでいた本が、予期せず仕事に大きな貢献をしてくれることがままあります。
NPOや社会企業家、ソーシャルビジネスといったものが話題になるなかご多分に漏れず興味がわいて読んだ「人を助けるすんごい仕組み――ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか」もその一冊です。3.11の東日本大震災の際に立ち上がったボランティア組織のお話なのですが、糸井重里さんのほぼ日やアマゾンのレビューでも高評価だったので買って読んでみました。FacebookのグループやサイボウズLiveといったWebに関わる話題も少しはあるんですが、大半はもちろん震災のことやボランティア組織「ふんばろう東日本支援プロジェクト」についての内容でした。Web制作に使えるTipsなどはもちろん皆無なわけですが、この本を読んだことが後日いい形で活きることになります。
実は本書を読む前から災害ボランティアに関わるWeb制作案件に少しずつ関わりを深めていたんです。新年度になってからより具体的な打ち合わせが始まる直前に本書を読み終えたのですが、昨年度まではあまり深いレベルで入り込んでいなかったためか、本書を買った段階ではこの案件と本書の関連性についてあまり深く考えていませんでした(今考えるととても甘かった)。
でも打ち合わせの前に本書を読んだことで、先方からの災害ボランティアに関する要件に対して、実際に震災の中で培われ高い評価を受けた「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の運用ノウハウや実例などを元に話をすることができました。主観ですが先方にも良い反応を示していただき、共通理解を深めることができたのではと思っています。
ひょっとしたら自分の中で意識は高くなかったかもしれないけれど、心のどこかにこの案件に関する意識があって、それをトリガーに本書を手に取ったのかもしれません。そういう意味では普段から仕事の技術のことだけでなく、クライアントの業界や案件の要件定義に関わる部分について常に意識をしておくことで、本質的に有効なリソースに触れる機会が増えるかもしれません。
ちなみに「人を助けるすんごい仕組み――ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか」については上で述べた震災やボランティアに関するものだけではありません。組織運営やこれまでにないプロジェクトの運用の仕方、「構造構成主義」と筆者が呼ぶ概念を元に、本震災における問題解決を「方法の原理」という一種のフレームワークに当てはめて要件定義や手段を作り上げる辺りの描写は、NPOや一般企業においても非常に参考になる内容だと思います(P・F・ドラッカーの言葉を引用した箇所もあります)。
このように一見自分の仕事に関係ないと思われるジャンルの書籍からも、仕事に活かせる材料を得ることは多々あると思います。むしろ分野外であるからこそより多面的な知見を得ることができ、理解を深めることができるとも言えると思います。こと震災関連やNPO、ソーシャルビジネスといったものは一種この時期のトレンドでもありますし、新鮮なトピックスの情報に触れる意味でも大切なことだと思います。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。