同じ手話でも違う「日本手話」と「日本語対応手話」
この前手話通訳の方に、「日本手話」と「日本語対応手話」について少し聞いてみました。
前から気になってたけど、きっかけのひとつは以下の記事。
「日本手話」授業受けられず 札幌のろう学校、児童が提訴:朝日新聞デジタル
以下記事の内容を一部抜粋。
訴状などによると、日本手話は文法体系が日本語とは異なり、主にろう者同士が使っている。これとは別に、日本語の文法に合わせて単語ごとに手の動きを当てはめた「日本語対応手話」があり、一般的な手話通訳に使われている。単語の手の動きは基本的に同じだが、ろう者の中には日本語対応手話を理解できない人もいるという。
2022年7月28日 朝日新聞
同じ手話でも日本手話と日本語対応手話とでは文法体系が違うので、同じようでもいろいろ問題が起きる可能性があるそうです。通訳の方から聞いたことを、メモを兼ねてかんたんにメモ。
- 日本語対応手話は基本的に日本語を話すときと同じ流れで表現していく。
- 日本手話は助詞、いわゆる「てにをは」がない。一方で日本語対応手話は助詞も手話で表現する。そのため同じことを訳する場合、日本語対応手話の方が表現する手話の数が多い(実際に見せてもらったけどかなり多い印象)
- 手話通訳を依頼される時、日本手話と日本語対応手話のどちらで通訳してほしいかを指定されることはめったになく、圧倒的に日本手話での通訳が多い。
- 大人世代のろう者は基本的に日本手話を使うので、日本語対応手話は理解するのが難しい場合がある。
- (余談)通訳するジャンルによっては通訳が難しかったり苦労する場合がある。たとえば理系の研究会など専門性が高い分野の通訳は、前提知識がないと通訳かなり大変。
朝日新聞の記事では、日本手話を第一言語として育った男児について、今年度の担任が日本手話をほとんどできないため日本語対応手話や身振りによって指導しているものの、男児は理解が難しく授業を欠席しているともあります。
学校の先生が不足していることはこの問題に限らず切実な社会問題となっていますが、児童生徒の第一言語に対応できない現場というのは、児童の苦労はもちろん先生方も心苦しい中にあるのではと思います。
特別支援学校に限らず、通常の学校でもこうした問題は他人事ではないと思います。それぞれの子供にあったコミュニケーション方法で学ぶ体制がきちんと整ってほしいと願うところです。
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