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情報モラル教育とデジタル・シティズンシップ

学校に関わらせていただいている縁もあり、教育に関係するいろいろな情報に触れるようにしています。その中で気になるキーワードの一つが「デジタル・シティズンシップ」です。

「デジタル・シティズンシップとは?」について、いくつかのサイトや資料に記載されている定義を引用します。

デジタルシティズンシップとは、「情報技術の利用における適切で責任ある行動規範」を指す。テクノロジーに関する倫理的・文化的・社会的問題を理解し、責任を持って、かつポジティブにそれを利用するための規範だ。主に教育現場で、生徒が適切に情報テクノロジーを活用するための規範や原則、生徒に教えるべき内容を規定している。

デジタルシティズンシップとは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

デジタルツールを用いて責任ある市民として社会に参加するための知識や能力がデジタル・シティズンシップであり、それを学ぶのがデジタル・シティズンシップ教育です。

「デジタル・シティズンシップ教育」とは?【知っておきたい教育用語】|みんなの教育技術

デジタル技術の利用を通じて、社会に積極的に関与し、参加する能力のこと

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やや漠然とした印象もあります。しかしデジタル・シティズンシップが注目されているポイントのひとつは「情報モラル教育の限界」という点にありそう。

ざっくり言うと従来の情報モラル教育では「アレをしてはダメ。これをしてはダメ」という、注意喚起や禁止、疎外という面が多かったこと。ネットやICT機器のいわゆる「負の面」にフォーカスして「危ない使いかたはしないようにしよう」という、警鐘を鳴らす方向性に寄ることが主軸。

しかしこれだけ誰もがネットやスマホなどを日常的に使う世情において、ただ危険視したり使用を遠ざけるというのは、DXやGIGAスクール構想などICT利活用を普及させる昨今の方向性と矛盾する面があります。

デジタル・シティズンシップでは、情報モラル教育で傾倒していた従来の「ネガティブキャンペーン」的啓発ではなく、デジタルをよりポジティブに捉え活用していくという方向性が重視されているようです。

もちろん情報モラル教育が担ってきたネットの危険性などを軽視するわけではなく、それらも包括した上で考え行動していくこともデジタル・シティズンシップには含まれています。

「デジタル・シティズンシップ」という言葉はまだ一般に広く認知されてはいませんが、今後より注目され、学校現場での啓発に関わる方向性も少しずつ変わっていくかもしれません。

「デジタル・シティズンシップ」の考え方は、個人的に10年くらい前から近いものをぼんやりイメージしていました。ネットの危険性についての啓発は今でも盛んですが「それだけでいいのか。ネットの危ないことを伝えるのも大切だけど、逆にネットやICT機器を肯定的に考えることもあって良いんじゃないか」と。

考えていたからといって具体的なアクションを起こせたわけではないんですが、やっぱりデジタル・シティズンシップしかり、そういう「ICTをポジティブに、建設的に捉える」方向に傾いてきつつあるのかなと思いつついます。

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